「経常利益」とは何か?

今回も損益計算書(以下、P/L)の利益概念について解説していく。

前回は「営業利益」について解説してきた。

営業利益について簡単に復習しておくと、売上総利益から販管費を差し引いて算出される利益概念で、企業にとって「本業から得られた儲け」を示す利益概念であった。

そして、吉野家とコメダ珈琲の決算書の違いを比較することで「ビジネスモデルの強さ」の違いについても紹介してきた。

今回はその続きとして「経常利益」という利益について解説していく。

いつものように、経常利益の意味から確認しておこう。

経常利益は「事業活動全体から得られた利益」を意味する。

「ん?なんだか営業利益と似ていて違いがわからない」

おそらく多くの方がこう思われただろう。大丈夫、営業利益と比較しながら解説していく。

営業利益は「会社の本業から得られた利益」という概念だった。

商品やサービスを販売するために必要なコスト(人件費、店舗家賃、水道光熱費など)を差し引いて、残ったものが営業利益ということを思い返して欲しい。

ここまでの計算プロセスで意識して欲しいのが「企業の本業に関係している取引」だけが加味されているという点だ。

例えばカフェ経営をしている場合を想定してみよう。


①コーヒー豆を仕入れる、②美味しいコーヒーを提供するためにバリスタを雇ってお給料を支払う、③コーヒーを提供してお客さんから代金をもらう、④銀行から借りた利息を支払う


4つほど取引例をあげてみた。

最初の3つはまさにカフェ経営という「本業に関係している取引」ということが出来る。対して、最後の取引は(必要なことではあるが)本業に関係している取引とは言えない。

こういった本業には関係ないけど、事業をする上で必要な取引を加味したものが「経常利益」なのだ。

「営業利益」と「経常利益」の違いを簡単にまとめておこう。

「営業利益」と「経常利益」の違い

本業に関係する取引だけを集めたものが営業利益、本業外も含めたものが経常利益

ざっくりそんなイメージを持っておいて欲しい。

続いて、経常利益の算定式について見ていこう。

経常利益の算定式を示すと以下のようになる。


「営業利益」+「営業外収益」-「営業外費用」=「経常利益」


営業「外」収益や営業「外」費用という言葉があることからも、経常利益を算定するプロセスで本業と関係していない取引を加味していることがわかるかと思う。

ちなみに、営業外収益と営業外費用をまとめて「営業外損益」と表現することもあるので、知っておくと良いだろう。

ここで営業外損益の特徴を2つほどまとめておく。

1つ目は、本業外の活動を反映しているという点だ。

2つ目は、恒常的に発生する活動を反映している点だ。恒常的というのは、よく発生する活動/取引という理解でOKだ。

銀行からお金を借りて無利息ということはまずない。利息を支払う。

こういった利息に係るコストは本業とは関係しないが、事業をするためにお金を借りているのであり、恒常的に発生する取引と言える代表例である。

そのため、利息に係るコスト(支払利息という)は「営業外費用」として記載される。

以下に代表的な例を簡単にあげておくので、参考にして頂きたい。


【営業外収益の具体例】受取利息、受取配当金など

【営業外費用の具体例】支払利息、銀行手数料など


ここまでの話を図でまとめておこう。

【図解】経常利益のイメージ

こちらも前回までと同じだが、左側の図はP/Lの構造(並び順)だ。そのうち今回はオレンジ色になっている「経常利益」にフォーカスしている。

そして右側にある図は、簿記のルールにしたがって表示したものだが、これは「右側に収益、左側に費用」をまとめて記載しているに過ぎない。

前回の営業利益を算定する段階では「販管費」までしかなかったが、そこに「営業外損益」が追加されており、残りの利益部分が「経常利益」となっていることがわかるだろう。

ちなみに経常利益は「けいじょうりえき」と読むのが正しいのだが、たまに「けいつね」と呼ぶ人もいる。言葉の響きが良くないので私はあまり好きではない。

では最後に企業事例を取り上げて終わろうと思う。

今回は、無借金経営の「任天堂」と比較的借金の多い「イオン」を比べてみた。

経常利益までの縮図を示したものが以下である。

【図解】任天堂とイオンの決算書(経常利益)を比較

比べてみると、経常利益の大きさがだいぶ違う。

そもそも商材が異なりビジネスモデルが違うので、営業利益の段階で大きな差が生じていることは念頭に置いておきたい。

その上で、比率的には小さいが「営業損益」について着目してみる。

任天堂は右側に営業外損益があるので、これは実質「営業外収益」が発生している。任天堂の売上は、実は約8割が海外売上ということもあり、ドル建てベースの海外資産を多く保有している。

海外資産は決算時点で日本円に為替換算をする必要があるのだが、この段階で「為替差益」が多額に発生しており、その結果として営業外収益が右側に表れているのだ。

対するイオンは左側に営業外損益があるので、これは実質「営業外費用」が発生している。イオンは銀行からの借入金が大きく、その結果として借入に対するコスト(支払利息)が多額に発生しているのである。

「絶対額」で確認してみると、イオンは年間で約300億円ほどの支払利息があるので、利息だけでこの金額というのは驚きだ。

このように上場企業の決算書を比較することで、色々と発見できることがある。

今回テーマとした「経常利益」に対する理解を深められることはもちろんだが、私たちの日常に溶け込んでいる企業やブランドの儲けや仕組み、裏側まで見えてくる。

こういった、実務で活かすことを目的とした企業分析をぜひ習慣化して欲しい。

企業の本質を見抜く目が少しずつ養われてくるはずだ。

次回は「当期純利益」について紹介していく。

編集後記

最後まで読んで頂きまして、ありがとうございました。今回は「経常利益」について紹介してみました。

前回紹介した「営業利益」との違いがポイントになりますが、一言で表すならば、本業との関連性が違いになるかと思います。

何度か出てきた銀行からの借入コスト(支払利息)のように、銀行からの借入依存度が高い企業であれば、経常利益までをしっかりと見ておく必要があるとも言えます。

また最後は任天堂とイオン、超有名企業の決算書を紐解いてみました。

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「完璧スタート」はないという話

「レベルが100になったらあそこに行こう!」

そんな風に考えた経験はないだろうか?

いきなり何だと思われるかもしれないが、もしこういった思考をお持ちなのであれば、意識して少しずつ捨てていった方がいい。

この思考は行動を硬直させ、いつまで経ってもその場から離れられないからだ。

RPGのゲームをプレイしたことがある方ならわかるかと思うが、主人公はレベル1からスタートする。

旅の途中、敵を倒して「経験値」を獲得し、自分のレベルをあげていく。

目的は魔王を倒す、囚われの仲間を救い出す、世界に平和をもたらすなど様々だが、旅の途中で色々な街や人との出会いが待っている。

こんなイメージを持って冒頭の文章を思い返してもらいたい。

自分が今いる街から次の街に行く必要がある。

この時、レベルを100まであげて次の街に行くことは可能なのだろうか?

理論的には可能かもしれない。

だがそれは途方もない作業であり、先に進んでより強い相手からより高い経験値を得てレベルを上げた方がよほど効率的と言える。

これを現実世界に置き換えて表現するなら、今の会社から次の会社に行く、いわば転職の状況に例えられる。

転職者のレベルが今いくつかは(ゲームと違って)わからない。

しかし、多くの人は「転職先で必要とされるスキルは持ってないから、今の場所で勉強してある程度完璧にしてから転職しよう」と考えがちだ。

これはまさに、今いる場所でレベルを100にあげようとする行為と同じと言える。

気持ちはメチャクチャわかる。

何を隠そう、私自身にもそういった時期があったからだ。完璧主義の人ほど、こういった傾向は強いようにも思える。

ここで一つ、私が新卒で働いていた頃のエピソードを少しだけ紹介させて頂きたい。

当時、私は自署内の新しいプロジェクトに興味を持っていた。しかし、プロジェクトでは英語のスキルやその他専門的な知識が要求されていたため、私は大いにためらった。

「今の自分のレベルだと足りないかもしれない。もう少し勉強してから参加しよう」

きっとそんな風に心に思っていたことだろう。

このことを先輩に話したところ、こう言われたのが印象的だった。

「そうなんだ。いつになったら尾内くんは自分に満足できるんだろうね?」

この言葉にハッとした。

まさに当時の私は自分を完璧に仕上げてから挑戦しようと思っていたのだ。

その言葉を受けてすぐにエントリーしたが、残念ながらそのプロジェクトには参加できなかった。ただ、それ以上に大切なものを得られたと実感している。

今振り返っても恥ずかしさが残るエピソードだが、完璧主義の傾向があった当時の私は「今いる場所でレベルを100まであげようとしていた」と言える。

言い換えれば「完璧スタート」を求めていた。


完璧さは自信をくれるしチャレンジしても怖くない

完璧なスキルがあればすべて思い通りに進められる


きっとこういう効果が得られて、自分を安心させてくれるものが「完璧」という存在なのだろう。

ただその「完璧」というものは存在しない。

ゲームであれば「レベル100」にすれば完璧と言えるだろうが、現実世界ではレベル上限は∞(無限)だ。

たとえ完璧さがあったとしても、誰もがチャレンジする時に恐怖心を抱くし、すべて思い通りに事を運ぶことなんて出来ない。

完璧は自分を安心させてくれるかもしれないが、それは虚像なのだ。

人によってはすぐに完璧さを手放せないかもしれない。

すぐに行動を起こせと伝えたいわけでもない。

ただ少しずつでいいから、意識を変えてみて欲しい。自分を楽にするためにも。

冒頭の「レベル100」という完璧スタートを求めてしまっているなら、「レベル80」や「レベル60」くらいまで引き下げる意識をしてみて欲しい。

次の街にいる人とのかけがえのない出会いや経験は、早く行動を起こした人だけに訪れるはずだから。

編集後記

最後まで読んで頂き、ありがとうございました。冒頭からゲーム的な要素を盛り込んでしまい申し訳ありませんでしたが、わかりやすい表現を探っていたらこうなりました。

「新しい場所に進みたいけど、なんだか不安を感じる。だから今の環境で安心できるまで自分を高めよう。」

これが今いる場所でレベルを100まで上げようとする「完璧スタート」のお話でした。

完璧さを否定するつもりはありません。僕だって完璧になれるものなら完璧でありたいと思っています(笑)

ただ時間が有限である以上、それは難しいですし、何より先に進めなくなってしまいます。

恐くても、今のレベルでいいから先に進んでいこうと自分に言い聞かせるようにしています。

冒頭の言葉をアレンジしてまとめるならば

「レベル1でもいいからあそこに行こう!」

これがエッセンスになるかなと思います。

この記事が、少しでも先に進む勇気を持てるキッカケになれば幸いです。

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「営業利益」とは何か?

前回「売上総利益」について解説した。

簡単に復習すると、損益計算書(以下、P/L)で登場する複数の利益概念のうち、最初に算定される利益で、別名「粗利益」とも呼ばれる。

意味としては商品やサービス自体がもたらす利益であり、「売上高」から「売上原価」を差し引くことで算出される。そして、業種によって大きさが異なることを吉野家とコメダ珈琲の事例からも示した。

今回はその続きとして「営業利益」について紹介していく。

まず最初に、営業利益の意味から確認しておこう。

営業利益は「本業から得られた儲け」を示す利益であり、ビジネスモデルの強さを示しているとも言える。

売上総利益と比べながらゆっくり理解していこう。

会社は自社の商品やサービスを売るために、人件費や広告宣伝費など、様々なコストをかけて事業をしていることは何となくイメージできるかと思う。

どんなコストをかけるかは企業によって異なるが、こういった事業を展開する上で必要なコストを差し引いて残った利益が「営業利益」である。そのため、本業から得られた利益と言われる。

ここで一度、売上総利益と営業利益の違いを簡単にまとめておこう。

「売上総利益」と「営業利益」の違い

「ビジネスモデルの強さ」という表現は今一つわかりにくいだろうが、ここは最後の企業事例を通じて解説していくので安心して欲しい。

続いて、営業利益の算定式について見ていこう。

売上総利益と同様に、こういった利益概念の算定式は非常に重要なのでぜひ覚えて欲しい。

営業利益の算定式を示すと以下のようになる。


「売上総利益」-「販管費」=「営業利益」


販管費というのは「販売費及び一般管理費」の略語だ。これは商品やサービスを販売するためにかかる様々なコストのことを意味する。

厳密には、商品やサービスを販売するために発生するコストが「販売費」、それに付随して発生する管理コストが「一般管理費」といったイメージなのだが、両者をまとめて表現することが一般的だ。

文字で書くとかなり長いので「販管費」や「SGA(Selling,General,Administration)」と表現するのが個人的なおすすめでもある。

販管費の主な具体例としては「人件費」「広告宣伝費」「店舗家賃」「業務委託費」「水道光熱費」「減価償却費」などがあげられる。もちろん他にもたくさんある。

このように、売上総利益から販管費を差し引くことで求められる利益が「営業利益」となる。

ここまでの話を図でまとめておこう。

【図解】営業利益のイメージ

前回と同じだが、左側の図はP/Lの構造(並び順)だ。そのうち今回はオレンジ色になっている「営業利益」にフォーカスしている。

そして右側にある図は、簿記のルールにしたがって表示したものだが、これは「右側に収益、左側に費用」をまとめて記載しているに過ぎない。

前回紹介した「売上総利益」には売上と売上原価しかなかったが、今回はそこに「販管費」が追加され、その残りの利益が「営業利益」となっていることがわかるかと思う。

ビジネスをするために必要なコストをかけて残った利益なので、本業から得られた利益と言えるのだ。

ちなみに今回は「営業利益」と表現しているが、もし売上総利益を上回る販管費が発生した場合には「営業損失」となる点は知っておいて欲しい。

この考え方は他の利益概念でも共通しており、プラスであれば「利益」、マイナスであれば「損失」と表現される。

では最後に、企業事例を取り上げたいと思う。

今回も「吉野家ホールディング」と「コメダホールディング」について比べてみる。牛丼の吉野家と中京地区を中心に全国展開をしている珈琲チェーンだ。コメダのカツサンドを初めて食べた時のボリューム感は今も忘れられない。

両社の営業利益を比べる前に、一つ思い出して欲しい。前回は両社の売上総利益を比べたが、その時は下図のように吉野家の方が売上総利益は大きかった。

【再掲】前回の復習(吉野家とコメダの売上総利益を比較)

この点を踏まえた上で営業利益の比較をしてみたい。

両社の営業利益の大きさを比べたものが下図となる。

【図解】吉野家とコメダ珈琲の決算書(営業利益)を比較

どうだろうか?

営業利益までを比べてみると、先ほどとは逆転し、コメダの方が利益が大きい。一方で吉野家は営業損失となってしまっている。

同じ外食産業で消費者向けのBtoCビジネスを展開しているものの、顧客に提供している商品メニューは当然異なるため、本当の意味での比較や優劣の判断はできない。

だが、両社の決算書を比べることで、ビジネスモデルの違いや強さの源泉を見つける手がかりを得られることになる。

ここに企業分析の面白さや奥深さがあるのだ。

会計思考を身に付け、フルに思考を回転させることで企業の事業メカニズムを知ることにもつながる。

今回は「営業利益」に関する説明なのでこれ以上は深入りしないが、企業によって取る戦略が異なる以上、ビジネスモデルの強さとしての結果も変わってくることはぜひ感じて頂きたい。

次回は「経常利益」について紹介していく。

編集後記

最後まで読んで頂き、ありがとうございました。今回は「営業利益」について紹介してみました。

前回紹介した「売上総利益」と似ているようにも思えますが、より広い範囲のコストを包含している点で売上総利益とは異なってきます。

「本業から得られた儲け」を示す重要な概念なので、営業利益やそこから派生して導出された利益概念を重視する経営者や投資家も少なくありません。

企業事例を通じて、ビジネスモデルの強さの意味についても確認してみました。案外、会計資格の勉強だけではこういった本質的な部分を見落としがちです。

資格合格のための勉強やインプットが中心となるので仕方ありませんが、ビジネス現場に出た時に活かせる会計スキルこそ手に入れたいものです。

僕が1on1形式で直接Web講義をしている「ビジネス会計講座」では、会計資格に頼らず会計スキルを磨くことを目的としたプログラムを提供しております。

会計知識ゼロから短期1ヶ月で企業分析まで出来るようになるWeb講義なので、興味のある方はお気軽にお問い合わせください。

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「フォロワーシップの大切さ」の話

学生時代の全校集会を覚えているだろうか?

校長先生や教頭先生が全校生徒の前で話すアレだ。

おそらく、ほとんどの人は小学校であれ中学校であれ高校であれ、その内容を覚えていないのではないだろうか?

私も覚えていない。

「君たちはリーダーになりなさい」という言葉以外は何も。

この言葉は、私が小学校だった時の前田校長が言っていた言葉だ。前田校長先生といった方が良いのだろうか?

おそらくわかっていたのだと思う。

何を話しても、その多くは生徒の耳に入っていかないことを。

だから前田校長先生は毎回同じことを繰り返し伝えていた。そして私の記憶にも刻まれている。

なぜこんな話をしたかと言うと、今回のテーマである「フォロワーシップ」を語る上では「リーダーシップ」という概念との対比が必要と感じたからだ。

リーダーシップとは「指導者としての統率力」や「周りのメンバーを自分なりに引っ張っていく力」といった意味合いで使われることが多い。

そして現代社会、とりわけビジネスの世界では「リーダーシップの発揮」が一人一人に求められている傾向が強い。社長として組織全体を引っ張るだけでなく、プロジェクト責任者としてメンバーを導く、役職がない人であっても積極性を発揮してチームに貢献する。

そういったニュアンスで、一人一人にリーダーシップの発揮が求められているように思われる。

リーダーシップの重要性を否定する気はまったくない。

カタチは違ったとしても、一人一人がリーダーになることはできる。

飲み会の幹事を買って出ること、新しいコミュニティをオンラインで作ること、仲間を誘って企画をすること、好きな人をデートに誘って喜ばせること

どれも立派なリーダーシップと言える。

冒頭で紹介した前田校長先生の「君たちはリーダーになりなさい」という言葉は、こういうことを伝えたかったのかもしれない。小学生にはむずかしい。

ただ、今の時代リーダーシップに並んで、いやそれ以上に大切な概念がある。

それが「フォロワーシップ」だ。

フォロワーシップを知って頂くために、以下の光景をイメージして頂きたい。


公園で1人の男性が上半身裸で踊っている


こんな人を見たらどう思うだろうか?

誰もが嘲笑するだろう。日本なら通報されるかもしれない。

だがここで少し変化が起こる。


別の男性が加わり、その男性を真似るように踊り始める


変な人が二人に増えただけに見えるかもしれない。

それでも、最初に踊っていた男性は気にせず、加わってくれた男性に踊り方を教える。

するとまた変化が起こる。


数人の男女がその二人に加わり、踊っている「集団」が出来上がる


こうなると、踊っている側は恥ずかしさを感じなくなってくる。

そして、さらに変化が起こる。


多くの男女がその集団に加わり、大勢が踊っている「輪」が出来上がる


このエピソードから何を学べるのか?

たった1人で踊っていた男性はいわゆる「リーダー」的な立ち位置だった。

もし、誰も彼と同じように踊ろうとしなければ、彼はずっと一人だったかもしれない。

だがそうはならなかった。なぜか?

それは「フォロワーシップ」を発揮してくれた人がいたからだ。

最初の男性に加わって一緒に踊り始めた2人目の男性、彼こそがフォロワーシップを発揮した人だった。

そして彼に続くように、他の人もフォロワーシップを発揮していった。

最近ではTwitterやInstagramの日常化もあり「フォロワー」という言葉は馴染み深くなっている。

フォロワーシップも同じようなものだが、言語化するのであれば「勇気を出して誰かに付いていく力」と言い換えることができる。

最初に踊っていた男性が「リーダーシップ」を発揮していたとするならば、その男性に続いて踊った人たちは「フォロワーシップ」を発揮していたと言える。

リーダーだけでは到底こんな大きな動き(ムーブメント)は起こせなかった。

フォロワーシップを発揮してくれる人がいたからこそ、踊っていた変質者はリーダーになれたのである。

話をまとめよう。

リーダーシップは確かに大事だ。

ただ、現代においてはそれ以上にフォロワーシップも大事と言える。

SNSでもコミュニティでも何でもいい。

一人で踊っている人を見かけたら、読者の方にはぜひ最初にフォロワーシップを発揮してもらいたい。

そうすれば、リーダーは心から救われる。そして大きな価値が生まれていく。

その価値の連鎖が、より良い社会につながっていくと信じている。

編集後記

最後まで読んで頂き、ありがとうございました。

今回は、僕の公式LINEに登録して頂いている方々に感謝の意を込めて書かせて頂きました。

僕は1月末頃から公式LINEを始めたばかりなのですが、記事投稿時点で9人の方々が登録してくださいました。

きっと中には(正直)訳もわからず友だち追加をしてくれた方もいたはずです。

そういった方々に、何か感謝を伝えられるポジティブな記事を書けないかなと思ったのが、今回この「フォロワーシップ」について書くこととなったキッカケでした。

改めまして、友だち追加してくださった皆様、本当にありがとうございます。その偉大なフォロワーシップに僕は救われ、今日も頑張れています。

公式LINEに限らず、僕の会社では「日本の中小企業を世界一に」という大それたミッションを掲げています。

まだまだ道半ばであり、基盤を固めないといけない段階でもあります。

それでも、公式LINEに登録してくださっている方や、この記事を見てくれている方、SNSでリアクションをくれる方々の応援はいつも自分のエネルギーになっています。

自分の活動に焦点をあてれば僕がリーダーと言えるのかもしれませんが、みなさまの活動に焦点をあてればみなさまがリーダーです。

僕の活動にみなさまがフォロワーシップを発揮してくださっているように、みなさまの活動に僕はフォロワーシップを発揮していきたいと思っています。

そこに見返りや心理学でいう返報性の法則は存在していません。応援したい、サポートしたいと思った方にはついていきたいと思っているので、もし何か活動されていることがあれば、気軽に僕に教えてください。問い合わせフォームでもInstagramのDMでも何でも構いません。

少し熱が入ってしまいましたが、今回はこういった想いから「フォロワーシップの大切さ」について紹介させて頂きました。途中紹介した、公園で踊っている男性のエピソードはデレク・シヴァーズ氏のTED講演にて紹介されているので、気になる方は冒頭3分くらい見てみてください。

※Youtube内で取り上げている動画は結構揺れが激しいので、酔いやすい方は注意してください。

最後に、公式LINEのお知らせをさせてください。今回のような記事を「投稿」でお知らせしたり、おすすめの本を紹介したりしています。良ければ「友だち追加」して頂けると力になります。

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「虚像」を選ぶリスクの話

「虚像」とは何だろうか?

私が愛用する辞書を引いてみると、こう説明されている。

実際とは異なる、見せかけの姿

明鏡国語辞典より引用

今日はこの「虚像」について記事を書いていきたいと思う。

「ありのままの自分」でいることは自分らしい人生を送るための必須条件だ。

にもかかわらず、ありのままの自分を表現することは簡単なようで難しい。

ありのままの自分を「実像」としたら、その姿でいられる時間は1日あたりどのくらいだろうか?

人によっては、環境に応じて自分を変える「虚像」で1日を過ごす方が長いのではないだろうか?

もし「自分ひとり」だけで生きているなら、虚像になることはおそらくないだろう。

自分以外の「相手」がいて、コミュニケーションや協力をしないと生きていけないために「実像」と「虚像」の間で揺れ動くのではないかと思う。

誰に対しても実像、いわゆる「自分の素」を見せた方がいいというわけではない。

相手との信頼関係レベルに応じて自分の素を見せていけばいい。

時間や回数を重ねても「信頼できない」「好きになれない」相手であるならば、あえて虚像を選んだ方が自分のマインドのためにも良い。

ただそういった例外ケースを除いては、虚像でいることは選ばない方がいい。絶対に。

虚像を演じ続けていると、自分を失くしてしまうからだ。

私もかつて「虚像」を選んでいる時期があった。

「20代のうちに海外で働きたい」との想いを胸に、中国上海で働いていた時だ。

右も左もわからず飛び込んだ世界だったのだが、前任者が思いのほか早く退職してしまい、自分がすべてを引き継ぐことになった。

押し寄せる大量の荒波に飲み込まれないように取った手段が「虚像」だった。前任者のような言動を真似することで、既存顧客を離さないように、新規顧客をつかまえられるように、社内スタッフに嫌われないようにしていたように思える。

それを続けていた結果、自分を見失った。

必死だったとも言えるが、日本に帰って来て「本当の自分」を探すのにかなり時間がかかった。

一時的に虚像でいることはさほど影響はないかもしれない。

ただそれを何回も繰り返していると、慢性的になってしまい、かつての私のように心が苦しくなってくる。

その場限りであったとしても、虚像ではなく「ありのままの自分」でいる心がけをしたい。

人気ドラマで映画化もされた「きのう何食べた?」という作品の中でこんなシーンがある。

主人公の史朗と賢二はゲイのカップルなのだが、ある日史郎の両親から「正月に恋人を連れてきなさい」と言われる。

人当たりも良く感受性豊かな賢二はその話を聞いて感涙するのだが、ヒゲを剃るかどうかでひどく悩む。

ゲイカップルに対する理解は一般的に進んでいないのだから、その場しのぎでもヒゲを剃り、少しでもご両親に対する印象は良くした方がいいと助言する人の意見と、そんな所で小細工するよりもありのままでいた方がいいと助言する人の意見の間で賢二は揺れていた。

史朗が「そのままでいいよ」と伝えることで、結局ヒゲは剃らずにご両親に会いに行くことになる。

このエピソード内で助言していた二人の意見が興味深い。

どちらかが間違っているわけではないが、虚像ではなく「ありのまま」でいた方がいいと助言する意見に私は賛成だ。

賢二の立場に立てば、その選択を取ることによる「痛み」や「ためらい」もあっただろうが、相手にどう思われるかよりも、自分はこういう人間だと主張できる道を選んだ勇気に拍手を送りたい。

「違う自分を演じたい」

そう思うことは誰にだってあるとは思う。

自分が意図的に虚像を選ぶことは「戦略的な選択」と言える。

その一方で、相手にどう思われたいかで虚像を選ぶことは「自分を失くす選択」とも言える。

ケースバイケースと言えばそれまでだが、可能な限り、ありのままの自分でいたいものだ。

自分を失ってしまった方は、いつでも気軽に相談して欲しい。

編集後記

最後まで読んで頂き、ありがとうございました。今回は「虚像とありのままの自分」をテーマに書いてみました。途中エピソードとして紹介した「きのう何食べた?」をNetflixで見返していた時にふと思い立ったのがキッカケでした。

ありのままの自分でいたいと思っても、なかなか出来ることではないと僕は思っています。かつての自分のように、周りの目や評価を気にする傾向が強ければなおさらです。

ですが、そんな時こそ勇気を出して「ありのままの自分」をさらけ出してみましょう。

100人いれば、1人だけであってもそんな自分を好きになってくれる人は絶対にいます。100人全員に好かれようとしても八方美人になり、自分を見失うだけです。

「ありのままの自分でいられているか?」考えてみたいものですね。

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「売上総利益」とは何か?

前回、損益計算書(以下、P/L)が持つ2つのポイントについて解説した。

今回からはP/Lの構造で登場してきた「利益」についてみていきたいと思う。

P/Lの並び順、覚えているだろうか?

今後の記事でも詳しく解説していくが、P/Lは「売上」からスタートして以下の各利益を算出していく流れはぜひ覚えてもらいたい。この各利益のことを「段階利益」と呼んだりもする。段階的に算出された利益だからこう呼ばれるのだろう。


「売上総利益」「営業利益」「経常利益」「当期純利益」


今回はその中でも「売上総利益」について詳しくみていく。

売上総利益は別名「粗利益(あらりえき)」とも呼ばれ、P/Lで最初に算出される利益概念だ。

実務上「粗利(あらり)」と連呼する人もいるくらい、粗利は親しまれている。

まず最初に、売上総利益の意味から確認しておこう。

売上総利益とは、商品やサービス自体がもたらす利益ということができる。

どういうことか?

当たり前だが会社によって扱っている商材は異なる。

目に見える商品や製品を扱っている会社もあれば、目に見えないサービス系の商品を扱っている会社もある。商材は異なるが、どちらにも共通しているプロセスがある。それが以下の2つだ。


【プロセス①】 顧客に価値を届けてお金を頂く

【プロセス②】 ①のために必要なお金をかける


実際のビジネス現場では、まず必要なお金をかけ(プロセス②)、そして価値をお客さんに届ける(プロセス①)といった流れになる。

身近な商品を思い浮かべてもらいたいのだが、それらの商品は私たちの手元に届くまでに色々なお金がかかっている。そして何かのキッカケで出逢ったその商品に価値を感じ、お金を支払ったはずだ。

この①と②の差額こそが「商品やサービスが生み出した価値」であり、売上総利益の意味となる。

続いて、売上総利益の算定式について見ていこう。

実際にP/Lではどのように計算されているかを知るため、以下の式は必ず頭に叩き込んで欲しい。


「売上」-「売上原価」=「売上総利益」


実はこの算定式、先ほどのプロセス①②と対応している。

どちらが「売上」でどちらが「売上原価」か、少し考えてみて欲しい。

正解を発表しよう。

考えてみようとは言ったものの、こういう時はたいていすぐに答えを見られてしまうものだ泣


  【①】 顧客に価値を届けてお金を頂く  ・・・ 「売上」に相当

  【②】 ①のために必要なお金をかける  ・・・ 「売上原価」に相当


売上は比較的イメージしやすいと思う。

売上原価は業種や扱う商材によって発生するコストが変わってくる。

一例だが、商品を扱う場合には「仕入代金」が売上原価に含まれるし、サービスを扱う場合には「人件費」が含まれる。ざっくりではあるが、こんなイメージを持っておくと良いだろう。

ここまでの話を図でまとめておこう。

【図解】売上総利益のイメージ

左側の図はP/Lの構造(並び順)だ。そのうち今回はオレンジ色になっている「売上総利益」を見ている。

そして右側にある図は、簿記のルールにしたがって表示したものだが、これは「右側に収益、左側に費用」をまとめて記載しているに過ぎない。

売上が売上原価を上回っていれば「売上総利益」となるし、下回っていれば「売上総損失」となる。

ただ、売上総損失になっているビジネスがあれば、それはやめた方がいい。商品やサービス自体から利益が出ていないのであれば、その後の段階利益も損失となるだろうし、何よりビジネスとして成り立っていない。

安く仕入れて高く売るのがセオリーなところ、高く仕入れて安く売っているようなものだ。

では最後に、企業事例を取りあげて終わろうと思う。

今回は具体例として吉野家ホールディングとコメダホールディングを比べてみる。牛丼の吉野家と中京地区を中心に全国展開をしている珈琲チェーンだ。コーヒーには豆菓子が付いてくる。

両社の売上総利益を比べてみたものが以下の図だ。

【図解】吉野家とコメダ珈琲の決算書(売上総利益)を比較

両社の企業規模が異なるため、売上を100とした場合の比率で比べている。

見て頂けるとわかるように、吉野家の方が売上総利益が大きく、コメダは小さい。

これだけを持って優劣は判断できないのだが、その理由は次回「営業利益」について解説する際に触れていこうと思う。

この段階では「同じBtoCビジネスの飲食店であっても、扱っているモノや戦略が違うためにP/L数値も変わってくる」ということを知っておいてもらいたい。

次回は「営業利益」について紹介していく。

編集後記

最後まで読んで頂き、ありがとうございました。今回からP/Lで登場してくる各利益について紹介していきます。ここらへんの内容は、簿記の学習でも登場はしますが、意外と本質的な部分までは触れられていないのが現状です。

「そもそも売上総利益ってなんだっけ?」この当たり前のような問いに答えることで、この先紹介していく別の利益概念についても理解を深めていけるはずです。

ちなみに本記事内で登場した「コメダ珈琲」ですが、よく大学生~新卒の頃に通った記憶があります。

当時は武蔵小杉から南武線で1駅で行ける武蔵中原という場所に住んでいたのですが、そこにコメダ珈琲店があり、お世話になっていたのを思い出しました。

コメダ珈琲の先にはブックオフがあるのですが、そこは高校受験のために通っていた予備校をさぼった時に居られた唯一の場所でした。笑

まったく関係ない話をしてしまいましたが、企業分析をすると思い出に浸ることも出来たりします。

僕が1on1形式で直接講義をしている「ビジネス会計講座」でも、企業分析を取り入れています。

会計知識ゼロから短期1ヶ月で企業分析できることを目的としたWeb講義なので、興味のある方はお気軽にお問い合わせください。

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「72時間の意識」の話

早いもので2月に突入している。

この記事は2月3日に書いているので、すでに2日経過している。

今月は28日にしかないが、「2月」と聞いて読者の方は何を思い浮かべるだろうか?


「2月は “28日” しかないからあっという間に過ぎてしまう月」


きっと多くの方がこのように感じている、もしくは感じたことがあるのではないだろうか?

実際、私も今までは同じように感じていた。

付け加えるなら「今年うるう年だっけ?」と考えることくらいだろうか。

ちなみに前回のうるう年が2020年だったので、次のうるう年は2024年のようだ。Googleカレンダーでしっかりチェックしたので、間違いないハズだ。

さて、先ほどの「あっという間に過ぎてしまう月」という考え方をこう変えてみたらどうか?


「2月は1月に比べて “3日” 少ないからより効率的に過ごそうの月」


雰囲気がガラリと変わる気がしないだろうか?語呂が悪いのは私のセンスのなさだ。泣

うるう年でない限り、2月は28日しかない。1月より3日少ない。

暦の上でそうなっているのだから当然というか、仕方のない話ではある。

ただそうではなく、3日分少ない(あるいは失われた)と考えることで、より充実した日々を送れるのではないかと私は思う。1日が持つ「重み」が変わってくるのではないかと思う。

3日は「72時間」に相当する。

2月の各日に割り振ったとしたら、28日計算で約2.5時間

記事執筆時点で2日経ってるので、26日計算で約2.7時間

およそ2.5時間前後を確保することが出来れば、実質31日分の時間を過ごせたことになる。

実際に毎日約2.5時間を確保するのは、至難の業だろう。

睡眠を削ってその分早起きするのはナンセンスだし、時間バンクがあるわけでもない。

ただ、日々の中に少しでも無駄や浪費と感じる時間があるのなら、それを削ってみる。

そうするだけでも、1日を少し効率的に過ごせるのではないだろうか。

ここで少し補足しておくが、何でもかんでも「効率的」に過ごそうという話をしているわけではない。

時にはゆっくり過ごす時間を持つことも大切だ。

心を落ち着かせる時間を持つことも大切だ。

私はコーヒーでも飲みながらのんびり読書をする時間が好きなので、

効率性ばかりを追求するのは正直あまり好きではない。

ただ、2月の日々を「より」充実させるという視点から言えば

この「72時間」の意識を持ってみるのは面白いのではないかと思う。

読者の方であれば、どうやってその「72時間」を確保するだろうか?ぜひ考えてみて欲しい。

編集後記

最後まで読んで頂き、ありがとうございました。今回は「2月」が持つ時間にフォーカスした記事を書いてみました。冒頭でも紹介したように、2月は28日しかありません。そのため、今月はあっという間に過ぎてしまうといった感覚に襲われます。

ただでさえ時間の経過が早くなっていると感じているのに、これ以上あっという間なんて言葉聞きたくない、そう思ったことがキッカケでこの記事を書いてみました。結局は意識を変えて、時間を有効活用しようということを書きたかったのだと思います。

「何に時間を投資するか」その軸作りにもつながると思うので、日々の時間の使い方を見直すキッカケや今月を頑張るエネルギーに変えて頂ければとても嬉しいです。

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損益計算書が持つ「2つ」のポイント

以前「決算書」について記事を書いた。

読んで頂けた方は覚えているだろうが「決算書とは会社の成績表のことで、財務三表をしっておけば良い」

確かそのような内容だった。

お忘れの方はコチラご参照頂きたい。

今回は財務三表の一つ、損益計算書について紹介していこうと思う。

損益計算書だと堅い雰囲気が充満するので、これから先は「P/L」と表記していく。

いきなりだが、結論からいこう。

P/Lを読めるようにするためには、以下2つのポイントを抑えることが大切だ。


ポイント①

「そもそもP/Lとは何か?」についてしっかりと理解する

ポイント②

「P/Lの仕組みや構造」についてもしっかりと理解する


以下、それぞれのポイントについて見ていく。

まずポイントの1つ目「そもそもP/Lとは何か」について。

これは簡単に言ってしまえば「今年いくら儲かったのか?」を示すものがP/Lである。

専門的にカッコよく決めたいなら「経営成績」を示す決算書とも言える。

「今年いくら儲かったのか?」という文言には2つの重要概念が含まれている。

それは「期間」というフローの概念があること、「儲け」という利益の概念があることだ。

前者のフロー概念は通常「1年単位」となるのだが、例えば2021年4月から2022年3月までの期間といったような形である一定期間に関する情報を示しているものだと解釈できる。

後者の利益概念はこの後さらに詳しく見ていくが、儲かっている場合には「利益」、儲かっていない場合には「損失」と表現されることになる。

ここまでが1つ目のポイント「そもそもP/Lとは何か」についてとなる。

続いて2つ目のポイント「P/Lの仕組みと構造」について見ていこう。

P/Lは儲け(以下、利益と呼ぼう)を示すものとお伝えしたが、どうやって利益を導き出すのか、その算定式を以下に示す。これは基本だが非常に重要なので必ず覚えて帰って欲しい。覚えられなければずっとこのページにいて欲しいくらいだ。


「収益」-「費用」=「利益 or 損失」


例えば、

収益が100で費用が80の場合、利益20が算出される。

収益が100で費用が120の場合、損失20が算出される。

こういった具合だ。別に難しいことはないと思う。

ここでは、収益から費用を差し引くことで利益を計算するのがP/Lということを抑えて欲しい。

ここまでの理解を前提に、実際のP/L構造を見ていく。

実際のP/Lは「段階的な構造」になっているのが特徴的だ。

図を用意したので、以下で理解してもらいたい。

【図解】P/Lの計算構造について

「収益-費用=利益」の基本式をベースとしつつも、それを繰り返して様々利益を出している。

あわせてP/Lの基本構造と流れについてしっかり抑えていこう。

本記事で最終的に理解して頂きたいゴールとなる図を以下に用意した。

【図解】P/Lの計算構造と利益算定の流れ

まず一番左側を見て頂きたいのだが、P/Lは「売上(収益)」からスタートする。

途中で売上原価や販管費のような「費用」を差し引いて、以下の順に利益を算出する。

「売上総利益」「営業利益」「経常利益」「当期純利益」

(各利益の細かな内容について、後日別の記事で紹介していくのでお時間頂きたい)

続いて図の中央部分について。

詳しくは後日の記事でも紹介していくが、ここではP/Lは「本業との関連性」×「恒常性」の構造で成り立っているということをなんとなく知っておいて欲しい。

ざっくり言えば、上側は「本業に関係している&日頃よく発生する項目」が集まっていて、下側は「本業に関係していない項目や日頃発生しない項目」が集まっている。そんなイメージだ。

図の一番右側は、興味のある方だけ見てもらえれば良い。

さて、ここまでP/Lのポイントについて解説してきた。最後に、実際に上場している企業のP/Lをチェックして終わろうと思う。みんな知っている「任天堂」についての決算書を用意してみた。

今回の内容をもとに、P/Lの構造や利益の流れ(並び順)が読めるようになっているかどうか、確かめてみて欲しい。細かな内容や項目についてはすべて無視してOKだ。

【事例】任天堂のP/Lを読んで見よう(2020年3月期の有価証券報告書より抜粋)

少しでもP/Lの構造や利益の流れがわかるようになっていれば、この記事を書いた価値も少しはあるのかもしれない。基本的なことを1つずつ、しっかりと着実に身に付けていこう。

編集後記

最後まで読んで頂きまして、ありがとうございます。今回は「損益計算書」について紹介してみました。

損益計算書は主要な財務諸表の一つであり、企業を読み解く上でも非常に重要な決算書となります。今回は基本的な内容でしたが、そもそもの意味や仕組み(構造)を理解することは、いずれ発展的な内容を扱う際にもきっと役立つはずです。

今回で言えば、損益計算書は「ある一定期間の儲け(経営成績)」を示すものであり、儲けは「収益から費用を差し引く」ことで算出されるというのが2つのポイントでした。実際の決算書を読むことで理解も深まっていくので、ぜひチャレンジしてみてください。

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思考を横切る「アイツ」の話

アイツって誰だよと突っ込まれそうなタイトルだが、名前はわからない。

それは頭の中にいて、ふとした時に表れる。

人によって出てくる頻度も姿や形もきっと違う。

アイツだとこの先話しにくいので、この記事では「思考の誘惑」と表現してみる。

怪しげなお菓子の商品にありそうなネーミングとなってしまったが、存在していたら教えて欲しい。

今日のテーマはこの「思考の誘惑」についてだ。

とある作業をしている時、頭の中で「何か」が気になり、作業を中断して「何か」を確認する作業をした経験はないだろうか?例えば、プレゼン用の資料を作成しているのに、ふと「メール」のことが気になり、プレゼン資料の作成を中断してメールチェックを始めてしまう。

あるいは、これからある作業に取りかかろうとしていた矢先、頭の中で「何か」が気になり、そっちを優先してしまった経験はないだろうか?例えば、今から本を読もうとしていたのに、数時間前にSNSで投稿した内容へのリアクションが気になり、本はそっちのけでSNSを開いてしまう。

いずれのケースでも「急に頭の中に浮かんできて作業を邪魔しようと誘惑してくるもの」

それが思考の誘惑だ。

思考の誘惑は個人差あるだろうが、おそらく誰にでもある。

アニメに出てくる仙人でさえも煩悩まみれなのだから、思考の誘惑はそれだけ身近な存在なはずだ。

今回の記事で一番伝えたいことは「思考の誘惑に気付こう」という点だ。

思考の誘惑を完全に消すことはおそらく出来ない。が、存在に気付くだけでも価値がある。

思考の誘惑に気付かないと、本来注力すべきだった作業を中断させてしまい、生産性が圧倒的に下がることになるからだ。文章を書いている途中でSNSなど見てたら、どれだけ機会コストが発生するだろうか。文章を再度書くためにエンジンを温める必要も出てくる。

私たち人間の時間は有限なのだから、エンジンを温め直している時間などない。

そういった観点からも、マルチタスクは弊害でしかないと言える。

思考の誘惑を完全に消すことは出来ないと伝えたが、工夫はできる。

私の例で恐縮だが、一番効果があるのはスマホの通知をすべてオフにすることだ。PCでもポップアップ通知などはすべてブロックし、「思考の誘惑」が訪れるキッカケを物理的に排除する。

実際に頭の中に「やあ」と言わんばかりに思考の誘惑が訪れたら、それを認識することだ。

この存在を認識しているだけで、生産性を落とさないようにする意識が働くからだ。

もし頭の中に「思考の誘惑」たちが住みついているのなら、一度瞑想でもして振り払おう。

そして、自分が持っている時間の大切さを再認識し「思考の誘惑」の存在を意識してみよう。

少しずつでも生産性が改善・向上すれば、それだけ人生のクオリティが改善・向上することにもつながる。

「思考の誘惑」にとらわれずにこの記事を書き終えた自分をほめつつ、終わろうと思う。

編集後記

最後まで読んで頂き、ありがとうございました。今回は「生産性」を向上させることを目的に「思考の誘惑」について取り上げてみました。この言葉自体は造語なのですが、もっといい表現や正式名称がございましたらぜひ教えてください(笑)

タイトルも「思考を遮る」「脳裏をよぎる」といった方が日本語としては正しいかと思いましたが、急に猛スピードで現れるイメージから「横切る」とさせて頂きました。

現代社会では情報量がえげつないことになっています。日々それを浴びている僕らには、ふとした時にその情報を思い返してしまうリスクが付いて回ります。何がリスクかは本記事を読んで頂いた方にはおわかりかと思いますが、時間を奪われるリスクです。

他人からの誘いと違い、自分の頭の中で直接誘いかけてくるので厄介ですが、自分の思考パターンを知る上でも「思考の誘惑」は役立てることが出来ます。少しでも生産性をあげたいと考えている方は、毎日意識的にアイツが出てきていないかチェックしてみてください。

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「簿記」とは結局なにか?

「簿記とは何ですか?」

もしこんな質問を就職や転職の面接時に聞かれたら最悪だ。

おそらく会計マニアや会計キャリアを築きたい人以外、ほとんど答えられないからだ。

それほど「簿記」の概念は難しい。

難しいというより、知名度の高い言葉であるにもかかわらず実態を知られていない

こう表現した方が正しいかもしれない。

知名度の高さは商工会議所が主催する「簿記検定」で聞いた方も多いのではないだろうか

ちなみに2022年現在においても、予備校や通信講座で高い人気を誇る資格だそうだ。

これから「簿記とは結局なにか」というタイトルに回答するために解説していくが、まずは商工会議所が定義する簿記の意味を紹介してみよう。

簿記は、企業規模の大小や業種、業態を問わずに、日々の経営活動を記録・計算・整理して、経営成績と財政状態を明らかにする技能です。

商工会議所Webサイトより引用

どうだろうか?専門的な言葉が並んでいて理解できる人はまずいないので安心して欲しい。

もしこれで理解できたらこの記事を読む必要はない。

簿記をひとことで説明するならば「決算書を作るスキル」だ。

せめてこれだけは覚えてこのページを閉じて欲しい。

決算書を作ると言っても、いきなりドカンと作れるわけではない。

自動車をいきなり作ることが出来ないのと同じように、部品を集め、それを組み立てるといったプロセスが必要になる。ここで言う部品が「日々の取引」に相当し、組み立てるが「その取引を数値として記録」することに相当するイメージだ。

要するに、決算書は日々の取引を「数値として記録」して積み重ねることで完成するものなのだ。

この数値として記録することを「仕訳(しわけ)」と呼び、簿記が果たす役割の一つと言える。

ここまでの話をわかりやすく図解してみよう。

【図解】決算書の作成プロセス

このように、日々の取引を「仕訳」にして、整理・集約することで決算書が作られるのだ。

そのため、経理部には毎月大量の資料が集まり、それをすべてを仕訳として会計ソフトに入力する作業に追われている。もし経理部の人から「これなんですか?」と質問されたら、やさしくしてあげてください。

ここまでの内容で、ある程度タイトルの「簿記とは結局なにか」に回答は出来ていると思う。

ただこれだけでは味気ないので、簿記を学ぶことにより得られる知識をまとめてみる。

【図解】簿記を学ぶことにより得られる知識

先ほどの「決算書作成プロセス」にそって学べることをまとめてみた。

大量の資料を見て理解する必要があるため、必然的に様々な取引に対する知見は深まる。

そしてその取引を「会計ルール」にそって仕訳に起こすため、会計ルールや考え方についても学ぶことができる。ちなみに仕訳を作ることを「仕訳を起こす」とか「仕訳を切る」という。おそらく伝票を使っていた頃に生まれた用語だろう。

最後に仕訳を整理・集約して決算書を作り上げるため、そのプロセスや仕組み、さらには各取引が決算書に与える影響までも知ることができる。

これらが簿記を学ぶことにより得られる知識と言えるだろう。

経理で働きたい、税理士を目指したいといった方であれば、簿記は必須のスキルと言える。

「公認会計士は?」と思われるだろうが(決算書を作ることはしないが)決算書が正しいかどうかをチェックする立場になるため、当然知識としては必要となる。

ここまでの内容を踏まえた上で、簿記資格を志すかどうか、判断の軸として頂きたい。

編集後記

最後まで見て頂きまして、ありがとうございます。今回は「簿記」について解説してみました。

資格の名前としては認知度が高いのに、実は何をするかよくわからないと思われているのがこの簿記だったりします。「会計スキルを身に付けることは、簿記を勉強すること」そのように誤解されているケースも多く、必ずしも簿記が必要となるわけではないことを知って頂きたくこの記事を書きました。

会計スキルはすべてのビジネスマンに必須の知識と断言出来ますが、簿記はすべてのビジネスマンに必須とは言えません。もちろん知っているに越したことはありませんが。

そもそも簿記は決算書を「作る」ためのスキルなので、ビジネスマンに要求される「分析」するという観点からは必ずしも効率がいい方法とは言えないのです。反対に、会計資格や会計キャリアを志している方であれば、簿記の知識は必要不可欠とも言えます。要は「目的次第」なのです。

会計スキルを高めたい方であれば「個人向けプログラム」で私が1on1形式で直接Zoom講義をしている「ビジネス会計講座」というものがあるので、良ければお気軽にご相談ください。

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