「簿記とは何ですか?」
もしこんな質問を就職や転職の面接時に聞かれたら最悪だ。
おそらく会計マニアや会計キャリアを築きたい人以外、ほとんど答えられないからだ。
それほど「簿記」の概念は難しい。
難しいというより、知名度の高い言葉であるにもかかわらず実態を知られていない
こう表現した方が正しいかもしれない。
知名度の高さは商工会議所が主催する「簿記検定」で聞いた方も多いのではないだろうか
ちなみに2022年現在においても、予備校や通信講座で高い人気を誇る資格だそうだ。
これから「簿記とは結局なにか」というタイトルに回答するために解説していくが、まずは商工会議所が定義する簿記の意味を紹介してみよう。
簿記は、企業規模の大小や業種、業態を問わずに、日々の経営活動を記録・計算・整理して、経営成績と財政状態を明らかにする技能です。
商工会議所Webサイトより引用
どうだろうか?専門的な言葉が並んでいて理解できる人はまずいないので安心して欲しい。
もしこれで理解できたらこの記事を読む必要はない。
簿記をひとことで説明するならば「決算書を作るスキル」だ。
せめてこれだけは覚えてこのページを閉じて欲しい。
決算書を作ると言っても、いきなりドカンと作れるわけではない。
自動車をいきなり作ることが出来ないのと同じように、部品を集め、それを組み立てるといったプロセスが必要になる。ここで言う部品が「日々の取引」に相当し、組み立てるが「その取引を数値として記録」することに相当するイメージだ。
要するに、決算書は日々の取引を「数値として記録」して積み重ねることで完成するものなのだ。
この数値として記録することを「仕訳(しわけ)」と呼び、簿記が果たす役割の一つと言える。
ここまでの話をわかりやすく図解してみよう。
このように、日々の取引を「仕訳」にして、整理・集約することで決算書が作られるのだ。
そのため、経理部には毎月大量の資料が集まり、それをすべてを仕訳として会計ソフトに入力する作業に追われている。もし経理部の人から「これなんですか?」と質問されたら、やさしくしてあげてください。
ここまでの内容で、ある程度タイトルの「簿記とは結局なにか」に回答は出来ていると思う。
ただこれだけでは味気ないので、簿記を学ぶことにより得られる知識をまとめてみる。
先ほどの「決算書作成プロセス」にそって学べることをまとめてみた。
大量の資料を見て理解する必要があるため、必然的に様々な取引に対する知見は深まる。
そしてその取引を「会計ルール」にそって仕訳に起こすため、会計ルールや考え方についても学ぶことができる。ちなみに仕訳を作ることを「仕訳を起こす」とか「仕訳を切る」という。おそらく伝票を使っていた頃に生まれた用語だろう。
最後に仕訳を整理・集約して決算書を作り上げるため、そのプロセスや仕組み、さらには各取引が決算書に与える影響までも知ることができる。
これらが簿記を学ぶことにより得られる知識と言えるだろう。
経理で働きたい、税理士を目指したいといった方であれば、簿記は必須のスキルと言える。
「公認会計士は?」と思われるだろうが(決算書を作ることはしないが)決算書が正しいかどうかをチェックする立場になるため、当然知識としては必要となる。
ここまでの内容を踏まえた上で、簿記資格を志すかどうか、判断の軸として頂きたい。
編集後記
最後まで見て頂きまして、ありがとうございます。今回は「簿記」について解説してみました。
資格の名前としては認知度が高いのに、実は何をするかよくわからないと思われているのがこの簿記だったりします。「会計スキルを身に付けることは、簿記を勉強すること」そのように誤解されているケースも多く、必ずしも簿記が必要となるわけではないことを知って頂きたくこの記事を書きました。
会計スキルはすべてのビジネスマンに必須の知識と断言出来ますが、簿記はすべてのビジネスマンに必須とは言えません。もちろん知っているに越したことはありませんが。
そもそも簿記は決算書を「作る」ためのスキルなので、ビジネスマンに要求される「分析」するという観点からは必ずしも効率がいい方法とは言えないのです。反対に、会計資格や会計キャリアを志している方であれば、簿記の知識は必要不可欠とも言えます。要は「目的次第」なのです。
会計スキルを高めたい方であれば「個人向けプログラム」で私が1on1形式で直接Zoom講義をしている「ビジネス会計講座」というものがあるので、良ければお気軽にご相談ください。
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また定期的に投稿していきたいと思うので、別の記事でお目にかかれることを楽しみにしています。