中国進出や現地法人設立に必要な検討事項を解説

こんにちは、ベクトリムの尾内です。

今回は、中国への新規進出を検討している企業担当者の方向けに、中国現地法人の設立の際に必要となる検討事項について中国元総経理の視点から解説していこうと思います。

中国はアジア最大の市場であり、中国進出を果たすことでグループ企業の価値を大きく向上させるポテンシャルを秘めています。その一方で「中国はよくわからなくて不安」という理由から、中国進出を断念してしまっている方もいます。

そういった背景をベースにして、今回は中国へ進出する場合には具体的にどのようなことを検討しなければならないのか、中国実務に照らしてお伝えしていきます。実際に中国進出を検討している方や、進出前の不安を少しでも減らしておきたい方は参考にしてみてください。

中国進出の前に知っておきたいこと

まず最初に、中国ビジネス全般に関わるポイントをお伝えしておきます。

それは「実務ありき」ということです。
どういうことかと言うと、理論と実務が容易にして乖離し得るということです。

例えば、現地法人を設立するために必要な資料「ABC」を揃えて提出したとしても、実務的に必要な資料は「XYZ」と言われる可能性があるということです。これは設立時に限った話ではないのですが、実務を形成している「中国当局」が絡む場合には理論と実務が乖離するケースがあることを念頭に入れておいた方が良いです。

なぜこのようなことが起きるのかというと(本当の理由はわかりませんが)中国当局が大きな力を持っていることが背景にあると思われます。政策的な意図が反映されているケースもあるでしょうし、担当者の厳密な実務解釈が含まれているケースもあります。

もちろん、大きな枠組みから逸れることは基本的にないですが、すべてが文書通りではなく実務担当者の主張が反映される結果、「理論と実務の乖離」が起こり得ることをぜひ知っておいてください。このことを知っておくだけでも、スケジュールや戦略立てにも時間と心の余裕を持たせることが可能となります。

中国現地法人設立の基本的な流れ

続いて、中国の現地法人を設立する場合の基本的な流れについて紹介していきます。

中国に進出する場合、大まかに分類して「①日本本社が資本出資する独資形態」「②中国企業と共同で資本出資する合資形態」「③調査目的で現地に駐在員事務所を設立する形態」などがありますが、ここでは①の形態を前提として話を進めていきます。

基本的な流れとしては、必要資料を一式準備した上で、設立予定の地域を管轄する当局に資料を提出していきます。例えば、上海の静安区に会社を設立したいなら、 静安区を管轄する当局とやり取りしていくイメージになります。

資料は一度提出すれば完了というわけではなく「最初の当局の承認を得たら、次の当局に申請をして承認を得る」といったことを繰り返していきます。当局という関門がいくつかあるような感覚ですね。関連する当局は地区や状況、特殊免許の有無などによって変動する可能性はありますが、一般的に以下のような流れになります。

中国現地法人の一般的な設立フロー

現地法人の設立で関連してくる主な中国当局は上図の通りです。以下簡単に役割をまとめてみます。

中国各当局の簡単な役割イメージ

関連してくる中国当局はかなり多いように思えますが、一つ一つしっかり資料をそろえて提出し、現地の担当者と適宜コミュニケーションを取っていけばまったく問題ありません。これらの当局は、設立時だけではなく、実際に事業運営をしていく間でも関係してくることになるので、覚えておいて損はないでしょう。

中でも、税務局は毎月の法人月次決算や従業員給与の確定申告で関係してくることになる上、強い権限を持つ当局になるので、適切に対応していくことが重要になります。

中国進出前の検討事項一覧

現地法人設立の基本的な流れがわかったところで、中国進出前に検討しておくべきことをお伝えしておきます。各当局に提出する資料はそれぞれ異なる上にコミュニケーションも必要となるため、実務的には専門家に依頼するのが最も効率的ですが、それでも事前に決めておかなければならない事項があるので、それを紹介しておきます。

それを5つにまとめたものが以下の表です。

中国現地法人の設立前に検討しておきたい5つの事項

1つずつ簡単に補足していきます。

【検討事項①】会社名

まず最初に決めておくべきは、会社の名前です。「そんなの簡単だよ」と思われるかもしれませんが、中国当局に会社名を申請しても、様々な理由で否認される可能性があります。

当初予定していた会社名が否認されてはまた考え申請する、、、ということを繰り返していては、設立完了までかなり時間がかかってしまいます。そのため、事前に会社名候補を複数用意しておくことをおすすめしています。もちろん「中国語」の会社名である必要があります。

【検討事項②】資本金の額

続いて検討すべきは資本金の額です。日本に本社があり、中国に子会社形態で現地法人を設立すると想定した場合、日本から中国法人に出資する金額をいくらにするかという論点になります。

基本的にはいくらでもいいですが、現地法人での資金繰り確保は(日本に比べて)難しい点や親子ローンの実施可能性を考慮して、少し高めに設定しておいた方がいいかと思います。ちなみに親子ローンというのは、子会社である現地法人が親会社から資金を借り入れる行為のことを言います。

【検討事項③】現地法人の経営範囲

3つ目の検討事項は、現地法人の経営範囲です。これは日本でいう事業内容のことです。

なぜ現地法人の経営範囲が重要かというと、外資企業が中国では展開できない事業内容が含まれていたり、その事業を展開するためには別途特殊免許の取得が必要となる可能性があるためです。

基本的には親会社と同じ事業、あるいは中国で特に展開したい事業内容を検討した上で、当局に申請すれば問題ありません。ただ、上記理由から想定していた事業を展開できないケースや、展開のために特殊免許を取得するステップが必要になる可能性はあらかじめ知っておくと良いでしょう。

【検討事項④】現地法人の登記住所

4つ目の検討事項は登記住所です。今回紹介している5つの検討事項の中で最も重要になります。

中国では原則として「一つの住所につき一つの法人が登録出来る」というルールになっており、登記貸しをしてもらうことは難しいのが現状です。例外はありますが、基本的には中国事業を展開したい地域を決め、登記可能な住所やオーナーを見つける必要があるということです。

登記住所を決めるにあたっては、法人として登記可能かどうかを見極め、現地法人のランニングコストとしてかかってくる賃貸料の合理性を見極めることが重要となります。

【検討事項⑤】会社の機関構成

最後の検討事項は会社の機関構成です。中国においても、日本でいう会社法に従わなければなりませんが、取締役会を定めるかなどの機関を決めておく必要があります。

現地法人の展開規模にもよりますが、一般的にはミニマムな機関構成で進出することをおすすめしています。理由としては日系他社事例の傾向と、変更したければいつでも変更可能だからです。

最低限の機関構成としては、法定代表人(執行董事を兼任)と監事の組み合わせです。法定代表人というのは、対外的に責任を負う人のことで、必要に応じて中国現地に行く必要性もあります。執行董事は取締役としてのポジションで、監事は監査役としてのポジションです。

以上が中国進出前の5つの検討事項となります。他にも検討すべき事項はありますが、最低限ここで紹介した内容をおさえておくことで、よりスムーズに中国ビジネスを始めることが可能になるので、ぜひ参考にしてみてください。

中国進出を決めた後にすること

ここまで中国に進出するために必要なことを解説してきましたが、最後に中国進出を決めた後にすることを紹介しておきます。それは、中国ビジネスを展開する上でのビジネスパートナーを見つけることです。

ここでいうビジネスパートナーとは、特定の職種や事業者などを意味しているわけではなく、自社の成功のために必要不可欠となるパートナーのことです。現地で自社商品を販売していくために販売チャネルが必要になるケースもありますし、越境ECをはじめるにあたってのサポートが必要となるケースもあります。

自社にとって、どのようなビジネスパートナーが必要となるか、実際に中国進出前に検討してみてください。

弊社では、中国経験を持つ代表を中心に中国支援事業「C-Bridge」を展開しております。中国進出はもちろんのこと、設立後に毎月必要となる記帳や税務申告をはじめ、不正調査や子会社管理などを現地アライアンス先と協力しながら幅広くサポートしております。弊社のネットワークを活用して、越境ECの展開や法務・労務に強い弁護士との連携も可能ですので、興味のある方はお気軽にお問い合わせください。

みなさまの中国ビジネス成功を祈っております!

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