貸借対照表の「資産」とは何か?

前回、貸借対照表とは何か?というテーマで記事を書いた。

貸借対照表(以下、B/S)には「資産、負債、純資産」という3つの構成要素があるという話をしてきたが、今回はその中の「資産」にフォーカスして解説していこうと思う。

復習用の図を貼っておくので、お忘れの方はイメージを膨らませてから読み進めて欲しい。

【復習用】B/Sが持つ「3つ」の構成要素について

まず最初に、資産の意味から確認しておこう。

「資産」という言葉自体は日常でもビジネスでも頻繁に使われる言葉なので聞いたことはあるかと思う。

ただこういったものに限って、厳密な定義は難しいものだ。

会計上の「資産」の定義も難しくて眠くなるので、以下のポイントだけ押さえて頂きたい。


B/Sの資産は「お金に換える権利」


そう、B/Sの資産というのはお金に換えることができる権利のことを言うのだ。

例えば手持ちの現金や預金など、すでにお金としての価値があるものは当然に資産に含まれる。

そして、相手を信用して掛け販売をした場合に発生する「売掛金」も資産に含まれる。

売掛金は、将来相手に請求してお金に換えることが出来る権利だからだ。

建物や土地といった不動産も(実際に売れるかどうかは置いといて)お金に換える価値を持っている。

ざっくりではあるが、まずこういったイメージを持っておいて欲しい。

続いて、資産を「細分化」していこう。

実はこのB/Sの資産、より細かくすることが出来るのだ。別に嬉しい情報ではないだろうが、ポイントをしぼって解説していく。

会計にはルールがあり、そのルールを定めている古典的なものとして「企業会計原則」というものがある。その中に、このような記載がある。

資産は、流動資産に属する資産、固定資産に属する資産及び繰延資産に属する資産に区別しなければならない

(企業会計原則 第三の四(一))

このように、資産は大きく「3つ」にわけることができる。

繰延資産はかなりマニアックなので知らなくてもOKだが、流動資産と固定資産が存在することは知っておこう。

そして固定資産はさらに「3つ」に区分することができる。

これ以上は細かくならないので安心して欲しい。最後に図でまとめて紹介もするので安心して読み進めて欲しい。

先ほどと同じく、企業会計原則の中に以下のような記載がある。

固定資産は、有形固定資産無形固定資産及び投資その他の資産に区分しなければならない

(企業会計原則 第三の四(一)B)

固定資産の中にも、目に見える「有形」、目に見えない「無形」「それ以外」の3つが存在するということだ。

ここまで話をわかりやすく図でまとめておこう。

以下の図がここまで話した内容の全体像となるので、この図は理解してもらいたい。

【図解】B/Sの資産ポイント

資産は「流動資産」「固定資産」「繰延資産」に分類することが出来た。

そして、固定資産は「有形」「無形」「その他」に分類することが出来た。

これだけだ。

では最後に、資産の具体例を確認して終わりにしたいと思う。

資産にどのような項目が含まれているのか、以下図を通して確認してもらいたい。

【図解】資産に含まれる取引の具体例

すべて覚える必要はまったくない。

「現金預金、商品、売掛金、建物、土地」あたりが分類出来れば当面は十分だ。

以上がB/Sの構成要素「資産」についての解説となる。

基礎的な内容になるが、すべてのベースとなるのでぜひ理解してもらいたい。

次回はB/Sの2つ目の構成要素「負債」について紹介していく。

編集後記

最後まで読んで頂きまして、ありがとうございました。

今回はB/Sの構成要素「資産」について解説してみました。

資産という言葉は聞き慣れた用語の一つですが、会計的には「お金に換える権利」を意味します。

厳密にはもっと難解な意味付けも可能ですが、まず何よりイメージを持つことが大切です。

資産の分類方法や具体例、余裕のある方はその根拠までぜひ理解してみてください。

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貸借対照表とは何か?

前回まで「損益計算書」について紹介してきた。

今日からは損益計算書と並んで重要な決算書「貸借対照表」について解説していく。

「損益計算書って何だ?」という方は、以下記事を参考にして欲しい。

貸借対照表は英語でBalance Sheetというので、以下では「B/S」と表記していく。

「B/Sとは何か」を理解するためのポイントは以下の2点だ。


ポイント①

「そもそもB/Sとは何か」について理解する

ポイント②

「B/Sの仕組みや構造」についても理解する


以下、それぞれのポイントについて見ていく。

まずは、ポイントの1つ目「そもそもB/Sとは何か」について確認していこう。

これは簡単に言ってしまえば「今、いくら持っているのか?」を示すものがB/Sである。

専門的にカッコよく決めたいなら「財政状態」を示す決算書とも言える。

「今、いくら持っているのか?」というのは、言い換えれば「ある一時点」の情報だ。

この一時点という「ストック概念」がある点が損益計算書との違いとも言える。

損益計算書は「フロー」という概念だったのを思い出して欲しい。

2021年4月1日から2022年3月31日の情報は「フロー」になるし、2022年3月31日時点の情報は「ストック」になる。

「2021年3月31日時点で100万円の借金がある」

「2022年5月20日時点で現金を1億円持っている」

こういった情報を提供してくれるものがB/Sといったイメージだ。

続いて、2つ目のポイント「B/Sの仕組みや構造」について見ていこう。

ここで知っておいて欲しい点は「B/Sには3つの構成要素がある」ということだ。

その3つをまとめたものが下の図である。

【図解】貸借対照表が持つ「3つ」の構成要素

詳しいことは次回以降の記事で一つずつ解説していく予定だが、「資産」「負債」「純資産」この3つの用語と簡単な意味はぜひ覚えてもらいたい。

B/Sが持つ構成要素を知った上で、B/Sで成り立つ重要式をご紹介しよう。

P/Lにも重要式が存在したかと思うが、同じようにB/Sにも存在する。以下の式もぜひ覚えて帰って頂きたい。


「資産」-「負債」=「純資産」


左辺にある「負債」を右辺に式変形して以下のように表現することもできる。


「資産」=「負債」+「純資産」


先ほどの図で「純資産は資産と負債の差額概念である」と書いてあることからも、上の式が成り立つことがご理解頂けるかと思う。

さて、ここまでの話を図でまとめてみよう。

【図解】貸借対照表の基本構造(まとめ)

今回の記事では、この図さえ理解してもらえれば十分だ。

細かいことは次回以降、一つずつ見ていこう。

では最後に、実際に上場している企業のB/Sをチェックして終わろうと思う。みんな知っている「任天堂」についての決算書を用意してみた。

今回の内容をもとに、B/Sには「3つの構成要素」があることを確認して読めるようになっているかどうか、確かめてみて欲しい。細かな内容や項目についてはすべて無視してOKだ。

【事例】任天堂のB/Sを読んでみよう①(2020年3月期の有価証券報告書より抜粋)
【事例】任天堂のB/Sを読んでみよう②(2020年3月期の有価証券報告書より抜粋)

「うわ~なんかいっぱいあるしわけわかんない」となる必要はない。

細かい内容は今はどうでもいい。私も昔はわからなかった。

大枠の構成要素として「資産の部」「負債の部」「純資産の部」といった3つの構成要素が確認できればそれで十分だ。「部って何?」って感じだが、そこについては私も知りたい。

余裕がある方は、本記事で触れた関係式(資産=負債+純資産)が成立しているかどうか、チェックしてみて欲しい。

B/Sに限った話ではないが、全体像をしっかりとおさえることで、より細かい論点やポイントについての理解も深まっていく。基本的なことを1つずつ、しっかりと着実に身に付けていこう。

次回は「資産」について解説していこうと思う。

編集後記

最後まで読んで頂きましてありがとうございました。

今回から貸借対照表(B/S)に入ってきました。B/SはP/Lと並んで重要な決算書となるので、ぜひ基本から理解してみてください。

最後に紹介した上場企業の決算書も、一見複雑そうに見えますが、構造を読み解いていけば大して難しくはありません。

「すべて理解したい!」という方も少なくないでしょうが、いきなり詰め込んでも忘れるだけなので、一つずつゆっくり確実に成長していきましょう。

「もっと短期で成長していきたい!」という方は、僕が直接Zoomで1on1講義をしているONE Growthをご覧ください。

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損益計算書に出てくる利益の種類をまとめて解説

今回は損益計算書(以下、P/L)に登場するさまざまな種類についてまとめていきたいと思う。

前回まで各利益について紹介してきたが、忘れてしまった方や復習したい方用の記事として利用して頂きたい。

まずP/Lに登場する利益の種類はいくつあったか覚えているだろうか?

合計「4つ」ある。

「売上総利益(粗利益)」「営業利益」「経常利益」「当期純利益」の4つだ。ここはしっかりと覚えてもらいたい。

その上で、各利益の意味とポイントをコンパクトに解説していく。

【利益その①】売上総利益について

まずは最初に登場する「売上総利益」について。別名「粗利益」とも言う。

売上総利益とは、商品やサービス自体がもたらす利益のことを意味する。

売上総利益の算定式とポイントをまとめると以下の図のようになる。

【図解】売上総利益の算定式とポイント

売上原価というのは、売上に対応するコストのことをいう。

商品を100個仕入れて100個販売したら、100個分の金額が売上原価となる。

商品を100個仕入れて20個販売したら、20個分の金額が売上原価となる。

そんなイメージだ。

ポイント部分にも記載したが、この売上原価は業種や商品・サービスの内容によって変わってくる点は抑えておこう。

より詳しく復習されたい方は以下の記事を読んで頂きたい。吉野家とコメダ珈琲の企業事例も取り上げている。

【利益その②】営業利益について

続いて「営業利益」について確認していく。

営業利益とは、本業から得られた儲けを表す利益であり、ビジネスモデルの強さを示している利益でもある。

営業利益の算定式とポイントをまとめると以下の図のようになる。

【図解】営業利益の算定式とポイント

商品やサービスを売るためにかかるコスト(人件費、広告宣伝費、店舗家賃など)が販売費及び一般管理費という点を思い出して欲しい。

営業利益は、売上総利益からこの販売費及び一般管理費を差し引いて算出するため、本業で得られた利益ということが出来るのだ。

より詳しく復習されたい方は以下の記事を読んで頂きたい。こちらも吉野家とコメダ珈琲の企業事例を取り上げている。

【利益その③】経常利益について

3つ目の利益は「経常利益」についてだ。

「けいじょうりえき」と読むのが正しいが、「けいつね」と呼ぶ人もチラホラいる。

経常利益とは、事業活動全体から得られた利益のことを意味する。

経常利益の算定式とポイントをまとめると以下の図のようになる。

【図解】経常利益の算定式とポイント

営業利益との違いを理解することがポイントとなるが、本業外の活動にともなう損益(利益と損失の総称)を含んでいる点が主な違いとなる。

より詳しく復習されたい方は以下の記事を読んで頂きたい。こちらでは無借金経営の任天堂と借入金が多いイオンの企業事例を取り上げている。

【利益その④】当期純利益について

4つ目の利益「当期純利益」について確認していこう。

損益計算書で一番最後に計算される利益概念だ。

当期純利益とは、企業にとっての最終成果を示す利益である。

当期純利益の算定式とポイントをまとめると以下の図のようになる。

【図解】当期純利益の算定式とポイント

こちらは経常利益との違いを理解することがポイントとなる。

経常利益は本業外の取引を含んだとお伝えしたが、頻繁に発生する「恒常的」な取引が対象であった。

対して当期純利益では、めったに発生しないようなイレギュラーな取引や税金取引を反映している点が経常利益と異なっている。

より詳しく復習されたい方は以下の記事を読んで頂きたい。こちらではオリエンタルランドとガイアックスという会社の企業事例を取り上げている。

【利益の種類】まとめ

最後にこれまで紹介してきた「4つ」の利益について図でまとめておこう。

私が会計知識ゼロの方向けに開催している「ビジネス会計講座」でも使っている図だ。

【まとめ】損益計算書の利益算定の流れとポイント

P/Lの流れと算出される各利益の意味、ポイントをこの図を活用してぜひおさえてもらいたい。

各利益が持つ意味やイメージを膨らませるために、企業分析もおすすめだ。

編集後記

最後まで読んで頂きまして、ありがとうございました。

今回は今まで紹介してきたP/Lの利益概念の総復習という形で記事を書いてみました。

「〇〇利益という名前は聞いたことあるけど、意味やポイントは説明できない」

こういった方は会計資格ホルダーであっても案外多いです。

資格の有無にかかわらず、そもそもの意味は何か、どういった時に使われるかを理解することはビジネス現場で活用するためにはとても大切な視点となります。

ぜひ復習用としても本記事を活用してみてください。

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「当期純利益」とは何か?

今回は損益計算書(以下、P/L)の最後の利益概念「当期純利益」について解説していく。

前回は「経常利益」について解説してきた。

経常利益について簡単に復習しておくと、営業利益から「本業とは関係ない取引」を加味して計算された利益であり「事業活動全体から得られた利益」を示す概念であった。

また、企業事例として、無借金経営の任天堂と借入比率が高いイオンの両社を比べ、主に借入コスト(支払利息)の負担の違いについて見てきた。

今回はその続きとして「当期純利益」について解説していく。

まずは当期純利益の意味から確認していこう。

当期純利益とは「企業にとっての最終成果を示す利益」である。

事業活動全体から得られた利益を示す「経常利益」は実は最終利益ではない。

この点、経常利益の計算プロセスで登場してきた「営業外損益」は「恒常的なもの」であった点を思い返して欲しい。

つまり、経常利益の計算プロセスに恒常的な取引(=よく発生する取引)は含まれているが、恒常的でない取引(=あまり発生しないイレギュラーな取引)は含まれていないのだ。

経常利益と当期純利益の対比という形でまとめると、このようになる。

「経常利益」と「当期純利益」の違い

簡単に言ってしまえば、イレギュラーな取引を含まないのが「経常利益」

イレギュラーな取引を含むのが「当期純利益」ということになる。

そしてもう一つ、税金についても加味しているのが当期純利益となる。

以上を踏まえた上で、当期純利益の算定式を見ていこう。


「経常利益」+「特別利益」-「特別損失」-「税金等」=「当期純利益」


これが当期純利益の算定式だ。ポイントは2つ。

イレギュラー取引を示す「特別利益」「特別損失」を加味する点と、税金費用を差し引く点だ。

イレギュラー取引としては、例えば災害による損失が発生したなら「特別損失」となるし、建物を売却したことによる臨時的な収入があれば「特別利益」となる。

税金としては、法人に関係する税金「法人税」「住民税」「事業税」などが含まれる。

これらすべてを差し引いて残ったものが当期純利益であるため、企業にとっての最終成果を示す利益と言われるのだ。

ここまでの話を図でまとめておこう。

【図解】当期純利益のイメージ

図の見方は前回までと同じだが、左側の図はP/Lの構造(並び順)だ。そのうち今回はオレンジ色になっている「当期純利益」にフォーカスしている。

そして右側にある図は、簿記のルールにしたがって表示したものだが、これは「右側に収益、左側に費用」をまとめて記載しているに過ぎない。

図を見て頂くと前回に比べ「特別損益など」が追加されているのがわかるかと思う。

「など」には税金費用を含めている。

参考程度だが、当期純利益は税金を加味する前後で呼び名が変わる。良ければ知っておいて欲しい。


「税引利益」:税金を考慮するの利益

「税引利益」:税金を考慮したの利益


一般的に「純利益」と言われた際には、税引後利益を意味していると理解して良いだろう。もちろん文脈に応じて使い分けはして頂きたい。

では最後に企業事例を紹介していこう。

今回は、特別損益の中身がイレギュラーであることを知ってもらうことを目的として頃合いの会社を2つ取り上げてみる。

1社目はディズニーリゾートを運営する「オリエンタルランド」だ。

【事例】オリエンタルランドの「特別損失」を確認

特別損失という項目の中に「臨時休園による損失」というのがわかるかと思う。

これは新型コロナウイルスの影響でダメージを受けた金額と言える。

まさにイレギュラーな取引(イベント)による損失なので、特別損失に記載されているのだ。

2社目として、Webマーケティング支援や運用代行をしているガイアックスという会社をみてみる。

【事例】ガイアックスの「特別利益/損失」を確認

こちらは特別利益と特別損失で金額の大きいものがある。

特別利益に目を向けると「雇用調整助成金」というものがある。

これは、新型コロナウイルスの影響を受ける中で、従業員の雇用維持を目的として支給される助成金のことである。

特別損失の方を見てみると「新型コロナウイルス感染症による損失」とある。これはそのままの意味だ。

いずれの場合も、イレギュラーな取引(イベント)として発生した損益のため、特別損失や特別利益に記載されていると理解することができる。

以上がP/Lの最後の利益概念である「当期純利益」の解説となる。

そもそもの意味や算定式、その具体例をしっかりと理解してみて欲しい。

編集後記

最後まで読んで頂き、ありがとうございました。今回は「当期純利益」について紹介してみました。

P/Lには色々な利益概念があって最初は理解しにくいですが、一つ一つその本質や役割を読み解いていくと、企業の特徴や構造を把握することにつながります。

企業の本質的な部分を見抜くためにはそれ相応の訓練が必要とはなりますが、誰でもネット環境さえあればできるのが「企業分析」です。

会計資格がなくても、誰でもできるようになるので、興味のある方はぜひビジネス会計講座をご覧になってみてください。

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「経常利益」とは何か?

今回も損益計算書(以下、P/L)の利益概念について解説していく。

前回は「営業利益」について解説してきた。

営業利益について簡単に復習しておくと、売上総利益から販管費を差し引いて算出される利益概念で、企業にとって「本業から得られた儲け」を示す利益概念であった。

そして、吉野家とコメダ珈琲の決算書の違いを比較することで「ビジネスモデルの強さ」の違いについても紹介してきた。

今回はその続きとして「経常利益」という利益について解説していく。

いつものように、経常利益の意味から確認しておこう。

経常利益は「事業活動全体から得られた利益」を意味する。

「ん?なんだか営業利益と似ていて違いがわからない」

おそらく多くの方がこう思われただろう。大丈夫、営業利益と比較しながら解説していく。

営業利益は「会社の本業から得られた利益」という概念だった。

商品やサービスを販売するために必要なコスト(人件費、店舗家賃、水道光熱費など)を差し引いて、残ったものが営業利益ということを思い返して欲しい。

ここまでの計算プロセスで意識して欲しいのが「企業の本業に関係している取引」だけが加味されているという点だ。

例えばカフェ経営をしている場合を想定してみよう。


①コーヒー豆を仕入れる、②美味しいコーヒーを提供するためにバリスタを雇ってお給料を支払う、③コーヒーを提供してお客さんから代金をもらう、④銀行から借りた利息を支払う


4つほど取引例をあげてみた。

最初の3つはまさにカフェ経営という「本業に関係している取引」ということが出来る。対して、最後の取引は(必要なことではあるが)本業に関係している取引とは言えない。

こういった本業には関係ないけど、事業をする上で必要な取引を加味したものが「経常利益」なのだ。

「営業利益」と「経常利益」の違いを簡単にまとめておこう。

「営業利益」と「経常利益」の違い

本業に関係する取引だけを集めたものが営業利益、本業外も含めたものが経常利益

ざっくりそんなイメージを持っておいて欲しい。

続いて、経常利益の算定式について見ていこう。

経常利益の算定式を示すと以下のようになる。


「営業利益」+「営業外収益」-「営業外費用」=「経常利益」


営業「外」収益や営業「外」費用という言葉があることからも、経常利益を算定するプロセスで本業と関係していない取引を加味していることがわかるかと思う。

ちなみに、営業外収益と営業外費用をまとめて「営業外損益」と表現することもあるので、知っておくと良いだろう。

ここで営業外損益の特徴を2つほどまとめておく。

1つ目は、本業外の活動を反映しているという点だ。

2つ目は、恒常的に発生する活動を反映している点だ。恒常的というのは、よく発生する活動/取引という理解でOKだ。

銀行からお金を借りて無利息ということはまずない。利息を支払う。

こういった利息に係るコストは本業とは関係しないが、事業をするためにお金を借りているのであり、恒常的に発生する取引と言える代表例である。

そのため、利息に係るコスト(支払利息という)は「営業外費用」として記載される。

以下に代表的な例を簡単にあげておくので、参考にして頂きたい。


【営業外収益の具体例】受取利息、受取配当金など

【営業外費用の具体例】支払利息、銀行手数料など


ここまでの話を図でまとめておこう。

【図解】経常利益のイメージ

こちらも前回までと同じだが、左側の図はP/Lの構造(並び順)だ。そのうち今回はオレンジ色になっている「経常利益」にフォーカスしている。

そして右側にある図は、簿記のルールにしたがって表示したものだが、これは「右側に収益、左側に費用」をまとめて記載しているに過ぎない。

前回の営業利益を算定する段階では「販管費」までしかなかったが、そこに「営業外損益」が追加されており、残りの利益部分が「経常利益」となっていることがわかるだろう。

ちなみに経常利益は「けいじょうりえき」と読むのが正しいのだが、たまに「けいつね」と呼ぶ人もいる。言葉の響きが良くないので私はあまり好きではない。

では最後に企業事例を取り上げて終わろうと思う。

今回は、無借金経営の「任天堂」と比較的借金の多い「イオン」を比べてみた。

経常利益までの縮図を示したものが以下である。

【図解】任天堂とイオンの決算書(経常利益)を比較

比べてみると、経常利益の大きさがだいぶ違う。

そもそも商材が異なりビジネスモデルが違うので、営業利益の段階で大きな差が生じていることは念頭に置いておきたい。

その上で、比率的には小さいが「営業損益」について着目してみる。

任天堂は右側に営業外損益があるので、これは実質「営業外収益」が発生している。任天堂の売上は、実は約8割が海外売上ということもあり、ドル建てベースの海外資産を多く保有している。

海外資産は決算時点で日本円に為替換算をする必要があるのだが、この段階で「為替差益」が多額に発生しており、その結果として営業外収益が右側に表れているのだ。

対するイオンは左側に営業外損益があるので、これは実質「営業外費用」が発生している。イオンは銀行からの借入金が大きく、その結果として借入に対するコスト(支払利息)が多額に発生しているのである。

「絶対額」で確認してみると、イオンは年間で約300億円ほどの支払利息があるので、利息だけでこの金額というのは驚きだ。

このように上場企業の決算書を比較することで、色々と発見できることがある。

今回テーマとした「経常利益」に対する理解を深められることはもちろんだが、私たちの日常に溶け込んでいる企業やブランドの儲けや仕組み、裏側まで見えてくる。

こういった、実務で活かすことを目的とした企業分析をぜひ習慣化して欲しい。

企業の本質を見抜く目が少しずつ養われてくるはずだ。

次回は「当期純利益」について紹介していく。

編集後記

最後まで読んで頂きまして、ありがとうございました。今回は「経常利益」について紹介してみました。

前回紹介した「営業利益」との違いがポイントになりますが、一言で表すならば、本業との関連性が違いになるかと思います。

何度か出てきた銀行からの借入コスト(支払利息)のように、銀行からの借入依存度が高い企業であれば、経常利益までをしっかりと見ておく必要があるとも言えます。

また最後は任天堂とイオン、超有名企業の決算書を紐解いてみました。

細かいことは抜きにして、決算書分析をすることで色々な発見や学びがあります。思考の訓練にもなると思っているので、会計知識ゼロからでも決算書分析ができるようになりたい方は、ぜひビジネス会計講座をご利用ください。

公認会計士でもある僕がZoomを使って1on1形式で講義をしています。会計についても何も知らないという方でも、短期1ヶ月での習得が可能です。気軽に雑談もできる講義にしていますので、気になる方はお問い合わせでも構いませんので、お気軽にご連絡ください。

最後に、公式LINEのお知らせをさせてください。今回のような記事を「投稿」でお知らせしたり、おすすめの本を紹介したりしています。良ければ「友だち追加」して頂けると力になります。

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「営業利益」とは何か?

前回「売上総利益」について解説した。

簡単に復習すると、損益計算書(以下、P/L)で登場する複数の利益概念のうち、最初に算定される利益で、別名「粗利益」とも呼ばれる。

意味としては商品やサービス自体がもたらす利益であり、「売上高」から「売上原価」を差し引くことで算出される。そして、業種によって大きさが異なることを吉野家とコメダ珈琲の事例からも示した。

今回はその続きとして「営業利益」について紹介していく。

まず最初に、営業利益の意味から確認しておこう。

営業利益は「本業から得られた儲け」を示す利益であり、ビジネスモデルの強さを示しているとも言える。

売上総利益と比べながらゆっくり理解していこう。

会社は自社の商品やサービスを売るために、人件費や広告宣伝費など、様々なコストをかけて事業をしていることは何となくイメージできるかと思う。

どんなコストをかけるかは企業によって異なるが、こういった事業を展開する上で必要なコストを差し引いて残った利益が「営業利益」である。そのため、本業から得られた利益と言われる。

ここで一度、売上総利益と営業利益の違いを簡単にまとめておこう。

「売上総利益」と「営業利益」の違い

「ビジネスモデルの強さ」という表現は今一つわかりにくいだろうが、ここは最後の企業事例を通じて解説していくので安心して欲しい。

続いて、営業利益の算定式について見ていこう。

売上総利益と同様に、こういった利益概念の算定式は非常に重要なのでぜひ覚えて欲しい。

営業利益の算定式を示すと以下のようになる。


「売上総利益」-「販管費」=「営業利益」


販管費というのは「販売費及び一般管理費」の略語だ。これは商品やサービスを販売するためにかかる様々なコストのことを意味する。

厳密には、商品やサービスを販売するために発生するコストが「販売費」、それに付随して発生する管理コストが「一般管理費」といったイメージなのだが、両者をまとめて表現することが一般的だ。

文字で書くとかなり長いので「販管費」や「SGA(Selling,General,Administration)」と表現するのが個人的なおすすめでもある。

販管費の主な具体例としては「人件費」「広告宣伝費」「店舗家賃」「業務委託費」「水道光熱費」「減価償却費」などがあげられる。もちろん他にもたくさんある。

このように、売上総利益から販管費を差し引くことで求められる利益が「営業利益」となる。

ここまでの話を図でまとめておこう。

【図解】営業利益のイメージ

前回と同じだが、左側の図はP/Lの構造(並び順)だ。そのうち今回はオレンジ色になっている「営業利益」にフォーカスしている。

そして右側にある図は、簿記のルールにしたがって表示したものだが、これは「右側に収益、左側に費用」をまとめて記載しているに過ぎない。

前回紹介した「売上総利益」には売上と売上原価しかなかったが、今回はそこに「販管費」が追加され、その残りの利益が「営業利益」となっていることがわかるかと思う。

ビジネスをするために必要なコストをかけて残った利益なので、本業から得られた利益と言えるのだ。

ちなみに今回は「営業利益」と表現しているが、もし売上総利益を上回る販管費が発生した場合には「営業損失」となる点は知っておいて欲しい。

この考え方は他の利益概念でも共通しており、プラスであれば「利益」、マイナスであれば「損失」と表現される。

では最後に、企業事例を取り上げたいと思う。

今回も「吉野家ホールディング」と「コメダホールディング」について比べてみる。牛丼の吉野家と中京地区を中心に全国展開をしている珈琲チェーンだ。コメダのカツサンドを初めて食べた時のボリューム感は今も忘れられない。

両社の営業利益を比べる前に、一つ思い出して欲しい。前回は両社の売上総利益を比べたが、その時は下図のように吉野家の方が売上総利益は大きかった。

【再掲】前回の復習(吉野家とコメダの売上総利益を比較)

この点を踏まえた上で営業利益の比較をしてみたい。

両社の営業利益の大きさを比べたものが下図となる。

【図解】吉野家とコメダ珈琲の決算書(営業利益)を比較

どうだろうか?

営業利益までを比べてみると、先ほどとは逆転し、コメダの方が利益が大きい。一方で吉野家は営業損失となってしまっている。

同じ外食産業で消費者向けのBtoCビジネスを展開しているものの、顧客に提供している商品メニューは当然異なるため、本当の意味での比較や優劣の判断はできない。

だが、両社の決算書を比べることで、ビジネスモデルの違いや強さの源泉を見つける手がかりを得られることになる。

ここに企業分析の面白さや奥深さがあるのだ。

会計思考を身に付け、フルに思考を回転させることで企業の事業メカニズムを知ることにもつながる。

今回は「営業利益」に関する説明なのでこれ以上は深入りしないが、企業によって取る戦略が異なる以上、ビジネスモデルの強さとしての結果も変わってくることはぜひ感じて頂きたい。

次回は「経常利益」について紹介していく。

編集後記

最後まで読んで頂き、ありがとうございました。今回は「営業利益」について紹介してみました。

前回紹介した「売上総利益」と似ているようにも思えますが、より広い範囲のコストを包含している点で売上総利益とは異なってきます。

「本業から得られた儲け」を示す重要な概念なので、営業利益やそこから派生して導出された利益概念を重視する経営者や投資家も少なくありません。

企業事例を通じて、ビジネスモデルの強さの意味についても確認してみました。案外、会計資格の勉強だけではこういった本質的な部分を見落としがちです。

資格合格のための勉強やインプットが中心となるので仕方ありませんが、ビジネス現場に出た時に活かせる会計スキルこそ手に入れたいものです。

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「売上総利益」とは何か?

前回、損益計算書(以下、P/L)が持つ2つのポイントについて解説した。

今回からはP/Lの構造で登場してきた「利益」についてみていきたいと思う。

P/Lの並び順、覚えているだろうか?

今後の記事でも詳しく解説していくが、P/Lは「売上」からスタートして以下の各利益を算出していく流れはぜひ覚えてもらいたい。この各利益のことを「段階利益」と呼んだりもする。段階的に算出された利益だからこう呼ばれるのだろう。


「売上総利益」「営業利益」「経常利益」「当期純利益」


今回はその中でも「売上総利益」について詳しくみていく。

売上総利益は別名「粗利益(あらりえき)」とも呼ばれ、P/Lで最初に算出される利益概念だ。

実務上「粗利(あらり)」と連呼する人もいるくらい、粗利は親しまれている。

まず最初に、売上総利益の意味から確認しておこう。

売上総利益とは、商品やサービス自体がもたらす利益ということができる。

どういうことか?

当たり前だが会社によって扱っている商材は異なる。

目に見える商品や製品を扱っている会社もあれば、目に見えないサービス系の商品を扱っている会社もある。商材は異なるが、どちらにも共通しているプロセスがある。それが以下の2つだ。


【プロセス①】 顧客に価値を届けてお金を頂く

【プロセス②】 ①のために必要なお金をかける


実際のビジネス現場では、まず必要なお金をかけ(プロセス②)、そして価値をお客さんに届ける(プロセス①)といった流れになる。

身近な商品を思い浮かべてもらいたいのだが、それらの商品は私たちの手元に届くまでに色々なお金がかかっている。そして何かのキッカケで出逢ったその商品に価値を感じ、お金を支払ったはずだ。

この①と②の差額こそが「商品やサービスが生み出した価値」であり、売上総利益の意味となる。

続いて、売上総利益の算定式について見ていこう。

実際にP/Lではどのように計算されているかを知るため、以下の式は必ず頭に叩き込んで欲しい。


「売上」-「売上原価」=「売上総利益」


実はこの算定式、先ほどのプロセス①②と対応している。

どちらが「売上」でどちらが「売上原価」か、少し考えてみて欲しい。

正解を発表しよう。

考えてみようとは言ったものの、こういう時はたいていすぐに答えを見られてしまうものだ泣


  【①】 顧客に価値を届けてお金を頂く  ・・・ 「売上」に相当

  【②】 ①のために必要なお金をかける  ・・・ 「売上原価」に相当


売上は比較的イメージしやすいと思う。

売上原価は業種や扱う商材によって発生するコストが変わってくる。

一例だが、商品を扱う場合には「仕入代金」が売上原価に含まれるし、サービスを扱う場合には「人件費」が含まれる。ざっくりではあるが、こんなイメージを持っておくと良いだろう。

ここまでの話を図でまとめておこう。

【図解】売上総利益のイメージ

左側の図はP/Lの構造(並び順)だ。そのうち今回はオレンジ色になっている「売上総利益」を見ている。

そして右側にある図は、簿記のルールにしたがって表示したものだが、これは「右側に収益、左側に費用」をまとめて記載しているに過ぎない。

売上が売上原価を上回っていれば「売上総利益」となるし、下回っていれば「売上総損失」となる。

ただ、売上総損失になっているビジネスがあれば、それはやめた方がいい。商品やサービス自体から利益が出ていないのであれば、その後の段階利益も損失となるだろうし、何よりビジネスとして成り立っていない。

安く仕入れて高く売るのがセオリーなところ、高く仕入れて安く売っているようなものだ。

では最後に、企業事例を取りあげて終わろうと思う。

今回は具体例として吉野家ホールディングとコメダホールディングを比べてみる。牛丼の吉野家と中京地区を中心に全国展開をしている珈琲チェーンだ。コーヒーには豆菓子が付いてくる。

両社の売上総利益を比べてみたものが以下の図だ。

【図解】吉野家とコメダ珈琲の決算書(売上総利益)を比較

両社の企業規模が異なるため、売上を100とした場合の比率で比べている。

見て頂けるとわかるように、吉野家の方が売上総利益が大きく、コメダは小さい。

これだけを持って優劣は判断できないのだが、その理由は次回「営業利益」について解説する際に触れていこうと思う。

この段階では「同じBtoCビジネスの飲食店であっても、扱っているモノや戦略が違うためにP/L数値も変わってくる」ということを知っておいてもらいたい。

次回は「営業利益」について紹介していく。

編集後記

最後まで読んで頂き、ありがとうございました。今回からP/Lで登場してくる各利益について紹介していきます。ここらへんの内容は、簿記の学習でも登場はしますが、意外と本質的な部分までは触れられていないのが現状です。

「そもそも売上総利益ってなんだっけ?」この当たり前のような問いに答えることで、この先紹介していく別の利益概念についても理解を深めていけるはずです。

ちなみに本記事内で登場した「コメダ珈琲」ですが、よく大学生~新卒の頃に通った記憶があります。

当時は武蔵小杉から南武線で1駅で行ける武蔵中原という場所に住んでいたのですが、そこにコメダ珈琲店があり、お世話になっていたのを思い出しました。

コメダ珈琲の先にはブックオフがあるのですが、そこは高校受験のために通っていた予備校をさぼった時に居られた唯一の場所でした。笑

まったく関係ない話をしてしまいましたが、企業分析をすると思い出に浸ることも出来たりします。

僕が1on1形式で直接講義をしている「ビジネス会計講座」でも、企業分析を取り入れています。

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損益計算書が持つ「2つ」のポイント

以前「決算書」について記事を書いた。

読んで頂けた方は覚えているだろうが「決算書とは会社の成績表のことで、財務三表をしっておけば良い」

確かそのような内容だった。

お忘れの方はコチラご参照頂きたい。

今回は財務三表の一つ、損益計算書について紹介していこうと思う。

損益計算書だと堅い雰囲気が充満するので、これから先は「P/L」と表記していく。

いきなりだが、結論からいこう。

P/Lを読めるようにするためには、以下2つのポイントを抑えることが大切だ。


ポイント①

「そもそもP/Lとは何か?」についてしっかりと理解する

ポイント②

「P/Lの仕組みや構造」についてもしっかりと理解する


以下、それぞれのポイントについて見ていく。

まずポイントの1つ目「そもそもP/Lとは何か」について。

これは簡単に言ってしまえば「今年いくら儲かったのか?」を示すものがP/Lである。

専門的にカッコよく決めたいなら「経営成績」を示す決算書とも言える。

「今年いくら儲かったのか?」という文言には2つの重要概念が含まれている。

それは「期間」というフローの概念があること、「儲け」という利益の概念があることだ。

前者のフロー概念は通常「1年単位」となるのだが、例えば2021年4月から2022年3月までの期間といったような形である一定期間に関する情報を示しているものだと解釈できる。

後者の利益概念はこの後さらに詳しく見ていくが、儲かっている場合には「利益」、儲かっていない場合には「損失」と表現されることになる。

ここまでが1つ目のポイント「そもそもP/Lとは何か」についてとなる。

続いて2つ目のポイント「P/Lの仕組みと構造」について見ていこう。

P/Lは儲け(以下、利益と呼ぼう)を示すものとお伝えしたが、どうやって利益を導き出すのか、その算定式を以下に示す。これは基本だが非常に重要なので必ず覚えて帰って欲しい。覚えられなければずっとこのページにいて欲しいくらいだ。


「収益」-「費用」=「利益 or 損失」


例えば、

収益が100で費用が80の場合、利益20が算出される。

収益が100で費用が120の場合、損失20が算出される。

こういった具合だ。別に難しいことはないと思う。

ここでは、収益から費用を差し引くことで利益を計算するのがP/Lということを抑えて欲しい。

ここまでの理解を前提に、実際のP/L構造を見ていく。

実際のP/Lは「段階的な構造」になっているのが特徴的だ。

図を用意したので、以下で理解してもらいたい。

【図解】P/Lの計算構造について

「収益-費用=利益」の基本式をベースとしつつも、それを繰り返して様々利益を出している。

あわせてP/Lの基本構造と流れについてしっかり抑えていこう。

本記事で最終的に理解して頂きたいゴールとなる図を以下に用意した。

【図解】P/Lの計算構造と利益算定の流れ

まず一番左側を見て頂きたいのだが、P/Lは「売上(収益)」からスタートする。

途中で売上原価や販管費のような「費用」を差し引いて、以下の順に利益を算出する。

「売上総利益」「営業利益」「経常利益」「当期純利益」

(各利益の細かな内容について、後日別の記事で紹介していくのでお時間頂きたい)

続いて図の中央部分について。

詳しくは後日の記事でも紹介していくが、ここではP/Lは「本業との関連性」×「恒常性」の構造で成り立っているということをなんとなく知っておいて欲しい。

ざっくり言えば、上側は「本業に関係している&日頃よく発生する項目」が集まっていて、下側は「本業に関係していない項目や日頃発生しない項目」が集まっている。そんなイメージだ。

図の一番右側は、興味のある方だけ見てもらえれば良い。

さて、ここまでP/Lのポイントについて解説してきた。最後に、実際に上場している企業のP/Lをチェックして終わろうと思う。みんな知っている「任天堂」についての決算書を用意してみた。

今回の内容をもとに、P/Lの構造や利益の流れ(並び順)が読めるようになっているかどうか、確かめてみて欲しい。細かな内容や項目についてはすべて無視してOKだ。

【事例】任天堂のP/Lを読んで見よう(2020年3月期の有価証券報告書より抜粋)

少しでもP/Lの構造や利益の流れがわかるようになっていれば、この記事を書いた価値も少しはあるのかもしれない。基本的なことを1つずつ、しっかりと着実に身に付けていこう。

編集後記

最後まで読んで頂きまして、ありがとうございます。今回は「損益計算書」について紹介してみました。

損益計算書は主要な財務諸表の一つであり、企業を読み解く上でも非常に重要な決算書となります。今回は基本的な内容でしたが、そもそもの意味や仕組み(構造)を理解することは、いずれ発展的な内容を扱う際にもきっと役立つはずです。

今回で言えば、損益計算書は「ある一定期間の儲け(経営成績)」を示すものであり、儲けは「収益から費用を差し引く」ことで算出されるというのが2つのポイントでした。実際の決算書を読むことで理解も深まっていくので、ぜひチャレンジしてみてください。

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「簿記」とは結局なにか?

「簿記とは何ですか?」

もしこんな質問を就職や転職の面接時に聞かれたら最悪だ。

おそらく会計マニアや会計キャリアを築きたい人以外、ほとんど答えられないからだ。

それほど「簿記」の概念は難しい。

難しいというより、知名度の高い言葉であるにもかかわらず実態を知られていない

こう表現した方が正しいかもしれない。

知名度の高さは商工会議所が主催する「簿記検定」で聞いた方も多いのではないだろうか

ちなみに2022年現在においても、予備校や通信講座で高い人気を誇る資格だそうだ。

これから「簿記とは結局なにか」というタイトルに回答するために解説していくが、まずは商工会議所が定義する簿記の意味を紹介してみよう。

簿記は、企業規模の大小や業種、業態を問わずに、日々の経営活動を記録・計算・整理して、経営成績と財政状態を明らかにする技能です。

商工会議所Webサイトより引用

どうだろうか?専門的な言葉が並んでいて理解できる人はまずいないので安心して欲しい。

もしこれで理解できたらこの記事を読む必要はない。

簿記をひとことで説明するならば「決算書を作るスキル」だ。

せめてこれだけは覚えてこのページを閉じて欲しい。

決算書を作ると言っても、いきなりドカンと作れるわけではない。

自動車をいきなり作ることが出来ないのと同じように、部品を集め、それを組み立てるといったプロセスが必要になる。ここで言う部品が「日々の取引」に相当し、組み立てるが「その取引を数値として記録」することに相当するイメージだ。

要するに、決算書は日々の取引を「数値として記録」して積み重ねることで完成するものなのだ。

この数値として記録することを「仕訳(しわけ)」と呼び、簿記が果たす役割の一つと言える。

ここまでの話をわかりやすく図解してみよう。

【図解】決算書の作成プロセス

このように、日々の取引を「仕訳」にして、整理・集約することで決算書が作られるのだ。

そのため、経理部には毎月大量の資料が集まり、それをすべてを仕訳として会計ソフトに入力する作業に追われている。もし経理部の人から「これなんですか?」と質問されたら、やさしくしてあげてください。

ここまでの内容で、ある程度タイトルの「簿記とは結局なにか」に回答は出来ていると思う。

ただこれだけでは味気ないので、簿記を学ぶことにより得られる知識をまとめてみる。

【図解】簿記を学ぶことにより得られる知識

先ほどの「決算書作成プロセス」にそって学べることをまとめてみた。

大量の資料を見て理解する必要があるため、必然的に様々な取引に対する知見は深まる。

そしてその取引を「会計ルール」にそって仕訳に起こすため、会計ルールや考え方についても学ぶことができる。ちなみに仕訳を作ることを「仕訳を起こす」とか「仕訳を切る」という。おそらく伝票を使っていた頃に生まれた用語だろう。

最後に仕訳を整理・集約して決算書を作り上げるため、そのプロセスや仕組み、さらには各取引が決算書に与える影響までも知ることができる。

これらが簿記を学ぶことにより得られる知識と言えるだろう。

経理で働きたい、税理士を目指したいといった方であれば、簿記は必須のスキルと言える。

「公認会計士は?」と思われるだろうが(決算書を作ることはしないが)決算書が正しいかどうかをチェックする立場になるため、当然知識としては必要となる。

ここまでの内容を踏まえた上で、簿記資格を志すかどうか、判断の軸として頂きたい。

編集後記

最後まで見て頂きまして、ありがとうございます。今回は「簿記」について解説してみました。

資格の名前としては認知度が高いのに、実は何をするかよくわからないと思われているのがこの簿記だったりします。「会計スキルを身に付けることは、簿記を勉強すること」そのように誤解されているケースも多く、必ずしも簿記が必要となるわけではないことを知って頂きたくこの記事を書きました。

会計スキルはすべてのビジネスマンに必須の知識と断言出来ますが、簿記はすべてのビジネスマンに必須とは言えません。もちろん知っているに越したことはありませんが。

そもそも簿記は決算書を「作る」ためのスキルなので、ビジネスマンに要求される「分析」するという観点からは必ずしも効率がいい方法とは言えないのです。反対に、会計資格や会計キャリアを志している方であれば、簿記の知識は必要不可欠とも言えます。要は「目的次第」なのです。

会計スキルを高めたい方であれば「個人向けプログラム」で私が1on1形式で直接Zoom講義をしている「ビジネス会計講座」というものがあるので、良ければお気軽にご相談ください。

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決算書のポイントは5分でわかる

本当に「5分」で決算書のポイントがわかるの?

そんな時間を1秒でも無駄にしたくない読者の方のために、早速はじめよう。

決算書というのは「会社の成績表」だ。

会社は様々な事業を営んでいるが、商品を仕入れて顧客に販売したが、それでいくら儲かったのか、いくらお金が残っているのか、そういった定量情報がないと会社はすぐ潰れる。頭の中で計算できないほどビジネスは複雑とも言える。

個人でも「家計簿」を作っているかと思うが、それの法人版と思ってもらえれば十分だ。ここまで1分くらいだろうか。

会社の様々な取引を数値として記録することで「決算書」は出来上がる。

ただこれだけではざっくりし過ぎている。

そこで会計の世界では決算書を「3つの種類」に分類することでわかりやすくしている。3種類の決算書をまとめて「財務三表」と呼ぶのだが、この言葉は知っておくと良い。厳密には他にも種類はあるが、知らなくても支障はないので飛ばすことにする。

財務三表とは①貸借対照表、②損益計算書、③キャッシュフロー計算書の3つの決算書の総称である。

それぞれの意味をざっくりまとめてみると、

貸借対照表は「今、いくら持っているか?」というある一時点でのストック情報

損益計算書は「今年、いくら儲かったか?」というある一定期間のフロー情報

キャッシュフロー計算書は「お金がどれくらい動いたか?」という資金の流れを示す情報

といった具合になる。

もう少し格好がつく表現をするのであれば、

貸借対照表は「財政状態」を示す決算書

損益計算書は「経営成績」を 示す決算書

キャッシュフロー計算書は「資金状況」を 示す決算書

ということも出来る。

貸借対照表や損益計算書だけでは(実は)お金の流れはわからないため、キャッシュフロー計算書が出来たという背景もある。さて、ここまで読んで頂けた方には、ぜひ財務三表の「略称」も知っておいてもらいたい。

貸借対照表は「Balance Sheet」の略で「B/S(ビーエス)」

損益計算書は「Profit & Loss Statement」の略で「P/L(ピーエル)」

キャッシュフロー計算書は「Cash Flow Statement」の略で「C/F」

と呼ばれたり表記されることが多い。

C/FはC/Sと表記する派閥もあるが、正直わかれば何でもいい。上場していない中小企業においては、キャッシュフロー計算書という名称ではなく、「資金繰り表」と言った名称で代用していることもしばしばある。

そろそろ時間のようだ。

最後にちょっとした補足をして終わろう。

「決算書」というのは一般的に使われる用語であるが、上場企業では金融商品取引法という法律が適用されることから、「財務諸表」と法律用語で表現されることもある。財務諸表は「Financial Statement」と記載するため「F/S」と略されることも多い。

事前知識や読む速さによってここまで何分かかったかわからないが、決算書についても何も知らない状態から「概要」を理解し、語れるようなレベルにはなったのではないだろうか。

決算書は「会社の成績表」であること、主にB/S(貸借対照表)、P/L(損益計算書)、C/F(キャッシュフロー計算書)があり、まとめて「財務三表」と呼ばれること。ここまでは最低限知っておきたいところだ。

財務三表のより具体的な内容については、また別の記事で紹介していくことにしよう。一度に詰め込んでも疲れるし非効率だ。気軽に読めて学べる、そんな記事にしていきたいと思っている。

編集後記

最後まで読んで頂きまして、ありがとうございます。決算書という言葉ほど大切なのにわかりにくいものはないような気がしています。会計の仕事に就いているかどうかは関係なく、ビジネスマンには必須のスキルが「会計」です。

会計が持つ威力と素晴らしさを伝えていくことが私のミッションの1つでもあるので、今回は会計の基本、入り口となる「決算書」について取り上げさせてもらいました。少しでもイメージや親近感を持っていただけたら嬉しい限りです。

さて、最近公式LINEを見よう見まねで始めたので、良ければ「友だち追加」して頂ければうれしいです。今回のような記事を「投稿」でお知らせしたり、おすすめの本を紹介したりしています。

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ブログ記事では口調が偉そうに見えたかもしれませんが、文章のリズムが取りやすいのでそうしているだけです。自分でいうことではありませんが、話し言葉はもっと落ち着いています。笑

また定期的に投稿していきたいと思うので、別の記事でお目にかかれることを楽しみにしています。

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